新連載 PB徹底分析! 使ってみてわかった! 「ビオラル」の意外な魅力とは
PB拡販の難しさ
ここまでは商品について見てきたが、ここからは売場や販売方法にフォーカスしてみたい。
まず前提としてPBの販売は、現場からするとかなり難しい。筆者も小売チェーンの現場で働いていた時は、PB拡販を意識してきたが、消費者はNB(ナショナルブランド)商品を求めることが多いと常に感じていた。それでも、大々的なエンド展開や販促物の徹底、NB品との比較販売など、PBの販売には徹底して力を入れてきた。
それぞれの商品群において、PBが売上点数1位となるケースは珍しいかと思われる。ただ、従来のPBはNBより価格も安く、その点ではまだ、大きく区別できる点があっただろう。
今回取り上げたビオラルは、紹介してきたとおり、価格が高い。もちろん、一般的なオーガニック商品と比べたら安いが、普段からこのジャンルを購入している層は、価格よりも品質を気にしている方が多いと思われる。それを踏まえると、こうしたジャンルを買わない層へのアプローチがもっと必要になるのでないだろうか。
もっとアピールできる!? 課題は売場での展開!
今回、売場に足を運んでみて気になったのは、売場でのアプローチや商品展開が物足りないという点だ。食べたり使えば価値を感じられる商品が並ぶだけに、もったいないと思う。とくに大船店は地下にある「ライフ」とうまく連携が取れていないように感じた。
地下にスーパーマーケットがあるのであれば、エンドやクロスMDの展開を強化するなど、ビオラルに興味を持ってもらうための取り組みができるはずだ。ほかの既存店ではビオラルを集合展開をしていることも多いが、1階にビオラル店舗がある大船店では、「ライフ」売場でのビオラルの展開が少ない印象を受けた。
店内にはいくつかはエンド展開やクロスMDがみられたが、陳列量も多くなく、売場ではあまり目立っていなかった。先ほど紹介したジンジャーエールも飲料売場のエンドに展開していたが、棚1枚のみの陳列で、商品のよさや特徴が伝わらず、高いジンジャーエールが並んでいるだけという印象を受けてしまうお客もいるだろう。
もちろん、売場スペースやバックヤードにおける在庫量、年間契約などの投入……と現場にはさまざまな事情があり、ビオラルのみを拡販するわけにはいかないが、「今はブランドの成長期」と思い切って、販促物を含め大々的に売場での展開を強化してはいかがだろうか。
オーガニック市場は年々拡大しており、消費者の健康志向も高まっている中、ビオラルというPBが今後拡大を続けていくのは間違いない。商品開発、売場展開を含め、ビオラルの発展に期待したい。