労働災害のうち、事故の型式別の発生件数を見ると転倒災害が大きなウエートを占めてきた。2015年には厚生労働省による「ストップ転倒災害プロジェクト2015」がスタート。その後も「転倒災害プロジェクト」として継続されるなど、社会的な関心も高まっている。こうした状況下で、あらためて公益社団法人日本保安用品協会(JSAA)が制定する「プロテクティブスニーカー規格の機能別表示」に注目したい。
労働災害のうち転倒災害が事故の20%を超える
労働災害についての調査では、直近7年間の休業4日間以上の死傷災害件数は、事故の型別Ⅱ見ると表1のとおり。大きな減少には至らない状況にある。
業種別では第三次産業で件数が増加傾向にある。また事故の型別では転倒災害が全体の20%を超えており、事故の要因1位となっている。2009年度に死傷災害全体の20%に該当する23002件が発生して以来、20〜25%の割合が続いており、その間、事故の型別の発生件数では不名誉な第1位が続いている。
15年には厚生労働省より「ストップ転倒災害プロジェクト2015」が企画され、各種の啓発活動に努めてこられた。しかし件数の減少には至らず、翌年からは年号を外して「転倒災害プロジェクト」として継続され現在に至っている。
「プロテクティブスニーカー規格」を製品選びの指針に
公益社団法人日本保安用品協会(JSAA)が制定するプロテクティブスニーカー規格にはプロテクティブスニーカー(以下プロスニーカー)およびプロテクティブブーツ(以下プロブーツ)型式認定合格品のタグ(型式認定合格証明票)が付いている。JIS規格で定められている基本性能(耐衝撃、耐圧迫、はく離抵抗)をベースに別途定められている。他に5つの付加的性能がピクトグラムで表示されている。製品を選ぶ際に参考にしたい。
JSAA認定品をチェックする場合のポイントは次のとおりとなっている。
①型式認定合格タグが製品に結束されているか。
②A種、B種の判別と個装箱の表示をチェック。
③ベロ裏に縫い付けられている織ネームの表示内容を確認し、必要な性能を有していることを示すマークをチェック。
耐滑性能は付加的性能としてピクトグラムで表示されている。JIS規格(注1)で定められている耐滑性能試験をクリア(動摩擦係数が0・2以上であること)しているあかしとなる。靴底が滑ったときの止まりやすさを表す性能であり、動摩擦係数で表される。
試験方法は、靴を人工足に取り付け、ステンレス製の試験床にグリセリン水溶液を塗布した後、靴または床を平行に移動させたときの鉛直力および水平力を測定し、動摩擦係数を算出。0・2とは、滑りやすい床面を歩行時のグリップ性の数値としている。
その他の付加的性能も製品選びの指標になる。①かかと部の衝撃吸収性②静電気帯電防止機能③耐踏み抜き性④ブーツタイプでは漏れ防止機能と前述の耐滑性能と合わせて合計5種類があり、それぞれの機能がピクトグラムで表示されている。これらを職場環境に応じて選定することが重要だ。そのほかに軽量、快適、デザイン等、さまざまな特徴がある。当協会HPも参考になるので、一読することをお勧めしたい。
なおJIS規格は20年3月の改訂により、耐滑試験方法が変更された。20年12 月現在、JSAAの試験方法は旧JIS規格が採用されている。