イオンリテールはオペレーション効率化などで価格競争力強化へ!煮込み料理などメニュー提案にも注力

プライベートブランド(PB)中心の国産豚肉とアメリカ産輸入豚肉を中心に品揃えを行うイオンリテール。新型コロナウイルスの影響とは別に、“超薄切り”の販売などの品揃えの拡充を図る一方、三密回避を図るため、EDLP(エブリデー・ロープライス)を基本とした価格施策にシフトしている。
まとめ買い需要の拡大で冷凍肉の売上が急増

釼持 彰氏
イオンリテールの豚肉の品揃えはPBが8割から9割を占める国産品が60~65%、輸入品が35~40%の割合。チルドの輸入品についてはほぼ100%アメリカ産を導入している。今期国産豚は好調な売上を記録しているが、輸入豚については産地の感染拡大で物量、価格の両面で影響があったという。
イオンリテール畜産商品部長の釼持彰氏は「フローズンはメキシコやスペインなどの産地でスライスした商品や、国内でスライスし、たれを付けて販売する味付け肉などアイテムは多様ですが、全体として昨年売上の4倍近くに増えています」と今期の特徴を語る。

このほか同社では、これまでしゃぶしゃぶ用に訴求してきた薄切り肉を、さらに薄くし1.5mm程度に加工した“超薄切り肉”が好調。使いやすさ、汎用性が高いだけでなく、やわらかさを感じる食感などが人気を呼んでいる。

このほか価格を打ち出した国産の小間切れ肉など、売れ筋商品全般の品揃えを強化してきた。しかし今期は、豚肉全体について3月頃から店頭でのまとめ買いが増え、プロセスセンターでの加工品を売れ筋に絞り込むなどの対応が必要になったケースもあったという。
価格志向に対応しコスト削減への取り組みを強化
さらに今期の特徴として釼持氏は、「価格への注目度の高さ」をあげている。「節約志向は従来からのトレンドですが、今期はいっそう高まっていると感じています。基本的にEDLPを基本とした価格訴求へシフトしていますが、そのぶん利益は圧迫されることになります。対策として、販売ロスの削減や、オペレーションの効率化などでコスト削減を進めています。数年前から取り組んできたガス置換包装などの包装技術を導入し、精肉やローストビーフなどの賞味期限を2~3日程度伸ばすことができるようになり、ロス対策として効果をあげています」(釼持氏)
また売れ筋のトレンドにはやはりコロナの影響が見られるという。従来は少なかった夏場の煮込み、シチューなどの需要が増え、それに応じた素材が好調。釼持氏は「家庭での手づくりトレンドは今後もある程度継続していくのではないかと見ています。それに応じてスペアリブなどの骨付き肉と、やわらかく煮込むためのソーダ水をクロス展開するなど、店頭提案にも力を入れていきます。またホットプレートを使った調理も今期のトレンドで、食卓が華やかになり、家族のコミュニケーションも図れることから今後も継続的な需要を見込んでいます。簡便性の高い豚のプルコギや、鶏肉チーズタッカルビなど、多様な味付け肉を品揃えしていきます」という。

さらに品揃えのバリエーションとして、飼料に抗生物質や遺伝子組み換え飼料を使用せずに育てたトップバリュグリーンアイの「ナチュラルポーク」の導入を進めている。食べ方提案に加え、さまざまな選択肢や付加価値を訴求することで、家庭内調理の需要に対応していく方針だ。

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