兵庫県初出店の「そよら西宮今津」 激戦区で選ばれるための差別化戦略とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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イオンリテール(千葉県/古澤康之社長)は5月30日、「ダイエー西宮店」を都市型ショッピングセンター「そよら西宮今津」(兵庫県西宮市:以下、西宮今津店)としてリニューアルオープンした。同店は「万代」や「ロピア」などの有力チェーンが集積する今津エリアにおいて、「ワンストップショッピング」と「滞在型空間」の両立を掲げ、巧みに差別化を図っている。

そよら西宮今津

「ワンストップショッピング」と「滞在型空間」を志向

 「通う」「集う」「つながる場」をキーワードに、都市生活を支える地域密着型・都市型ショッピングセンター(SC)として開発されてきた「そよら」。2020年3月の第1号店「そよら海老江」(大阪府大阪市)開業以降、25年5月末時点で全国に17店舗を展開している。

 イオンリテールは5月30日、兵庫県内初の「そよら」となる西宮今津店をオープンした。同店は00年11月に「マルナカ西宮店」として開業し、21年12月に「ダイエー西宮店」へと屋号を変更。そして今回、5月30日に「そよら」として改装オープンした。

 西宮今津店は阪神・阪急各線「今津」駅から徒歩15分の場所に位置。約5万6000世帯、12万7000人が居住する半径約2km圏内を商圏に設定する。なかでも30~40代のファミリー層を主なターゲットとしている。

 周辺は「万代西宮今津店」「ロピア西宮今津店」「関西スーパー浜松原店」「コープ西宮南」など有力な食品スーパーが軒を連ねる、兵庫県でも屈指の激戦区だ。

 このような厳しい環境のなか、西宮今津店は価格競争から距離を取り、「ワンストップショッピング」と「滞在型空間」という2軸を組み合わせた運営モデルを志向している。

ダイエー時代の商品を引き続き取り扱い

 1階部分は、核店舗である「イオンスタイル西宮今津」の食品売場を展開。生鮮食品、総菜、菓子・加工食品、酒類、冷凍食品、日配、インストアベーカリーが並ぶ。

1階部分は、核店舗である「イオンスタイル西宮今津」の食品売場を展開。
1階部分は、核店舗である「イオンスタイル西宮今津」の食品売場を展開。

 同店は、ダイエー時代に人気のあった商品の取り扱いを継続している。旧ダイエー西宮店のみで取り扱っていた熊本県産4等級以上の「菊池和牛」などがその一例だ。独自商品を引き続き取り扱うことで、既存顧客の離反を防ぐ。

熊本県産4等級以上の「菊池和牛」
熊本県産4等級以上の「菊池和牛」

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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