良品計画の25年秋冬新商品戦略 衣料と生活雑貨は定番商品を磨き上げる!

小笠原 玲 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

脱炭素社会実現に向け、再生可能エネルギー発電事業に参入

 また、同日、良品計画は259月に設立予定である「合同会社MUJI ENERGY」の事業説明会を実施した。MUJI ENERGYとは、日本最大の発電会社JERA(東京都/奥田久栄社長)との共同出資により、再生可能エネルギーの発電事業を行う特別目的会社である。

説明会に臨む良品計画ソーシャルグッド事業部執行役員の長田英知氏
説明会に臨む良品計画ソーシャルグッド事業部執行役員の長田英知氏

 同社は21年に発表した中期経営計画において、ESG経営のトップランナーをめざすことを掲げている。なかでも脱炭素は、環境課題の中核として位置付けられており、30年までにCO²排出量を基準年比で50%削減する目標を設定する。

 この目標のもと、同社はこれまで年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスとなる「ZEB認証」の取得や、屋根置き型太陽光パネル・蓄電池の導入など、無印良品の単独店舗において脱炭素の取り組みを進めてきた。

 ただ、店舗の約8割は商業施設内に構えるインショップ型店舗である。こうした店舗においてはエネルギー供給の選択肢が限られ、思うように脱炭素を進められないという課題があった。こうした背景から、同社は再生可能エネルギー発電事業への参画を決断した。

 MUJI ENERGYが手がけるのは、太陽光パネルによる再生可能エネルギーの発電事業である。特徴的なのは、広大な土地に大量のパネルを設置する一般的な方式ではなく、1カ所あたり約50kWほどの低圧設備を小規模に分散して展開する点だ。

 発電した電力は、日本卸電力取引所(JEPX)を通じて市場に供給される。そして、JERAの子会社であるJERA cross(東京都/三木貴生社長)を介して、バーチャルPPA(電力購入契約)というかたちで、良品計画が環境価値※を取得する仕組みだ。良品計画は「MUJI ENERGY」設立後、1年以内に全国250カ所以上の発電所を開設する。同社の24年の電力使用量の20%にあたる約13MWを発電し、年間8000トンのCO²削減に相当する再生可能エネルギーを創出する計画を進めている。

※「CO²の排出がない」という付加価値のこと

 良品計画は今回の再生可能エネルギー事業への参画を通じて、小規模分散型発電のモデルケース確立をめざしている。そして、この取り組みの普及を通じて脱炭素社会の実現に貢献する考えだ。

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記事執筆者

小笠原 玲 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

早稲田大学文学部(ドイツ哲学専攻)を卒業後、教育系の編集プロダクションで国語の入試問題の制作を担当。2024年、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。

休日の大半を台所で過ごすほど、無類の料理好き。得意な料理は、出汁巻き卵と切り干し大根の煮物。料理研究家の土井善晴氏を尊敬している。

趣味は、ミニシアターで映画をみること。音の大きな映画が苦手で、日常を切り取ったような変哲のない映画やドキュメンタリー映画を好む。見た作品のリーフレットを持ち帰り、コレクションしている。

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