パジャマスーツから高価格帯まで!AOKIがヒット商品を連発できるワケとは

油浅 健一
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機を見るに敏 次に見据える商機は

AOKI商品企画部スーツ課
商品企画部スーツ課の栗林努氏

 市場環境の変化を敏感に捉え、柔軟かつ迅速に対応することで隠れた需要をすくい上げる同社。スーツ需要の大幅な伸びが期待できない中で、今後をどのように見据えているのか。

 「数字を見ていると、高価格帯と低価格帯に二極化しつつある。中価格帯は、コロナの影響でスーツの着用機会が減少した層の影響を受けている。その中で高価格帯は役職のある方に需要がある。まだ伸びしろはしっかりあると考えている」(栗林氏)

 1万円を切る格安スーツを大ヒットさせた同社は、安いのに価格以上のクオリティで顧客を満足させた。既製品の高価格帯製品ではもちろん、安くはないが、それ以上の価値を生み出す製品力で顧客満足度を高めている。常に消費者の期待を裏切らない点が、同社の最大の強みといえるだろう。

世間を意識し続けて65年

 「金のスーツ」は、同社の創業65年を記念して企画された。振り返れば、同社は1958年に「ビジネスマンが日替わりでスーツを着られる世の中にしたい」との想いとともに紳士服メーカーとして誕生している。

 在宅勤務が浸透すればパジャマスーツ、スーツ需要が縮小すれば格安スーツ、コロナ初期にはマスクも発売し、1000万枚以上を売り上げた。スーツの概念にとらわれない商品企画の数々は、まさに創業時のコンセプトそのままであり、65年変わらず世間を意識し続けている。

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