初心者向けにPB開発、マツキヨがメンズメイク市場に参入した理由
韓国風にこだわった商品開発
構想から1年ほどでiisamはリリースされた。「YUMA氏から、美容感度の高い男性でもメイク品の使い方がわからず、どんなアイテムが必要かわからない人が多いと聞いた。そのため、使い方がわかりやすく多くのアイテムが必要のない製品を作ることにした」と、開発を担当したMCCマネジメント商品開発課の和田邦美氏は話す。
その結果、生み出された製品が『matsukiyo iisam マルチパレット』だ。アイシャドウ、アイライナー、アイブロウ、シェーディング、ノーズシャドウ、コ ンシーラー、リップカラーが1つにまとまっている。
工夫した点は、初心者でも使い方がわかるようにパレットの中にガイドを添付したことだ。
「ガイドがあると、誰でも簡単にメンズメイクに挑戦できる。どの色をどこに使うのか、どの付属ブラシを使うのかが一目でわかる。必ずしもすべてのアイテムを使う必要はなく、会社に行くときはアイブロウだけ、休日はすべて使ってメイクするなどバリエーションを楽しめるように考えた」
これまでは女性用化粧品の開発を担当することが多かった和田氏。メンズコスメならではの大変さはあったのだろうか。
「どのような色味が適切なのか見極めが難しく、YUMA氏にアドバイスをもらいながら進めた。意外だったのは、Z世代の男性が好むリップのカラーが思った以上に明るかったこと。それを参考に、色味は赤くても塗ると透明感が出て潤いを感じられるものにした」
パッケージのデザインも、女性用以上に悩んだという。「メイクアイテムは外観を見て購入するお客さまが多い。パッと見て韓国風コスメで男性向けだとわかるようにしたいと考えた。シリーズのネーミングにもこだわった」
iisam(イイサム)の名前の由来は、韓国語の「1(イル)・2(イ)・3(サム)」から着想した。「1・2・3」と軽いステップで、新しい自分になれる商品でありたいという想いを込めている。また、パッケージの色にはアッシュグリーンを採用。リサーチを重ね、韓国好きなZ世代男性に好まれる色合いにしたという。