「ビーガン」よりも「プラントベース」? 行動・意識調査に見るサステナブル消費のリアル

日本大学大学院総合社会情報研究科教授 加藤 孝治
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商品知識の広がりが
消費拡大につながる

 これらの調査結果から①現時点では消費者のエシカルな食品消費行動が浸透しているとはいえない、②エシカルの意識は若年層と高齢者で関心が高く、中堅層で低いという状況にあると考えられる。

 この傾向を受けて、これから日本社会でエシカル意識を高める際のターゲットは、30代~40代と考えられる。さらに言えば、この世代は③具体的なエシカルな消費行動につながる商品知識が低いことも確認された。最近でこそ、プラントベース食品などの認知度が上がってきたが、昆虫食を試した人はわずかである。社会的にSDGs(持続可能な開発目標)への意識は広がっているが、具体的に何を買い、何を食べたらよいかという知識は乏しいと考えられる。

 では、今後いかにエシカルな商品知識を高め、消費者の行動を変えていくべきか。

 筆者の見解では、企業の生活提案が消費者の消費行動に与える影響は大きい。たとえば、前述したサステナブル・リテイリング表彰でも受賞した「てまえどり」や「レジ袋不要」などは、企業側からサステナビリティにつながる商品提供・販売方法を提示したことで、広く世間に倫理的な行動が広がっていったと言える。

 こうしたなか、企業が率先してサステナブルな消費行動を提案していくことが重要だと考える。そうすることで30代~40代はもちろん、日本社会全体にエシカルな購買行動が広がることを期待したい。

【執筆者】

日本大学大学院総合社会情報研究科教授  加藤 孝治

1988年に日本興業銀行入行、2007年みずほコーポレート銀行産業調査部次長。15年、目白大学経営学部経営学科教授に転身。19年から現職。近著『食品企業 2030年,その先へ』

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