「2018年秋・冬新商品ヒットランキング」新ジャンル部門第1位
キリンビール「 キリン のどごし ZERO」
「のどごし」ブランドのオフゼロ系
ゼロゼロ認知を高めて幅広いユーザーを獲得
新ジャンル市場で存在感のある「のどごし」ブランドのオフゼロ系商品として2017年に登場した「キリン のどごし ZERO」。その中味とパッケージをフルリニューアルした商品がトップの座に輝いた。これまで課題だったゼロゼロ認知が高まったことで、幅広くユーザーを獲得できたのがヒットの要因だ。
3つのゼロが一目でわかるデザインに進化
そもそも「のどごし」ブランド初のオフゼロ系商品といえば、「キリン のどごし オールライト」にまで遡る。体に低負担なものを気軽に飲みたいというニーズに応えて2015年1月に発売されたが、主に子育て中の母親をメーンターゲットに訴求したこともあって、限定的ニーズに応えるサブブランドとして飲用され、ブランドのロイヤリティがなかなか高まらなかった。
そのためオフゼロ系市場のニーズを見直し、「のどごし」ブランドらしさを追求して17年9月に投入されたのが「キリン のどごしZERO」だ。ビール類が大好きな人のニーズにダイレクトに応えたオフゼロ系として打ち出したことで高い評価を獲得。しかしながら、競合品がすでに育っていたこともあって、シェアを拡大させるまでには至らなかった。
「糖質ゼロ※・1プリン体ゼロ※・2 人工甘味料ゼロであるにもかかわらず、認知が低いのが課題でした」と、マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の黒川かおり氏は話す。どうすれば3つのゼロの認知を上げられるか? そこで18年10月のリニューアルでは、缶体正面に3つの丸形アイコンをあしらい、その中にそれぞれ「糖質0※1」「プリン体0※2」「人工甘味料0」を描いた。「3つのゼロ」であることが一目でわかるデザインに刷新したのである。その結果、お客さまからの反応もよく、キリンビールの調べでは3つのゼロ認知度がリニューアル前に比べて10ポイント以上高まった。
さらに、ゼロゼロでありながら、「のどごし」ブランドならではのゴクゴク飲める爽快なうまさに磨きをかけた。
「オフゼロ系商品には味覚不満や知覚不満がまだまだあります。
そうした中、『のどごし』ブランド特有のシズル感のある液色や太鼓判、聖獣はおいしさを想起させ、購買の安心保証になっています」(黒川氏)
新たに40~50代女性も取り込むことに成功
フルリニューアルしたことで、大きく変わったことは2つある。1つは幅広くユーザーを獲得できたことだ。40~50代男性のメーンターゲットはもちろんのこと、これまで注目していなかった40~50代女性も取り込むことに成功した。もともと女性はオフゼロ系商品に対するハードルが低い。糖質ゼロに着目して「ちょっと試してみよう」と購入につながった。さらに、3つのゼロという点も“お得感”があり、女性に響いたようだ。
2つめは一人当たりの購入量が増えたことである。今話題のサバ缶が景品の「絶対もらえるマイレージキャンペーン」も後押ししたが、突き詰めれば味に満足していることの現れといえるだろう。
「3つのゼロ訴求を徹底したことでトライアルを呼び込み、味に満足してもらってリピートにつながるという好循環ができています」(黒川氏)
間口も奥行も拡大した背景には、「のどごし」のブランド力もある。新ジャンルで存在感のある「キリン のどごし<生>」が店頭やメディアで盛んに露出すると、それに連動して「キリン のどごし ZERO」も伸びるからだ。
「『のどごし』ブランド群として店頭でも施策でも一緒に取り組んだことで、『のどごし』ブランドのオフゼロ系商品であることが浸透しました」(黒川氏)
念願の香料ゼロを達成し今秋再びフルリニューアル
こうして好調に推移する「キリン のどごしZERO」だが、今秋、再び中味もパッケージデザインもフルリニューアルを図る。今回の目玉は中味だ。同社独自のホップアロマ製法を取り入れ、醸造工程の最初だけでなく中盤にもホップを追加。これにより、ビールに近いボディ感とともに香料無添加も実現した。
実は、ビール類づくりにおいてオフゼロ系商品ほど難しいものはないといわれるほど、味づくりは困難を極める。かつて「キリンのどごし オールライト」を上市したときは、いろいろなものをカットしたために、ボディ感が細くなってしまい、複数の香料で補完せざるを得なかった。「キリン のどごし ZERO」を新発売するときには香料を減らせたが、その後はなかなか納得のいく味に仕上げられない状態が続いた。しかし、同社がこれまでに培ってきた技術を結集させ、幾度となく試作を繰り返した結果、ついに念願の香料ゼロを達成したのである。
「おかげですっきりとした飲み口で後味もさらによくなりました。ビールに近い飲みごたえがありながらクセがなく、ゴクゴク飲めます」(黒川氏)
これに伴い、パッケージもブラッシュアップし、ゼロゼロの視認性をさらに高めた。以前は浅いシルバーの地にグリーンカラーの文字で3つのアイコンを描いていたが、白地に黒の文字というコントラストの強い組み合わせに変更。棚の中でもひときわ目立つようになった。8月製造品から順次切り替えていくが、リニューアル期には缶体裏面に「新!」と大きく描いたデザイン缶が登場する。
プロモーションについては、昨年同様、「のどごし」ブランド群として取り組む考えだ。
「オフゼロ系商品は固定客が買い続ける傾向があるので、一人当たりの購入量も大きく、流通様にとっても安定的に売れる優秀な商品です。お客さまが買いたいときに必ず店頭にあるように、カバレッジをさらに上げることを目指します」(黒川氏)
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