アフターコロナ総菜戦略のポイントは「値ごろ感の破壊」値入は率でなく額で管理すべき理由とは
コロナ禍で総菜を取り巻く環境は大きく変化した。こうしたなか、アフターコロナの総菜戦略はどのように構築すればよいのか。本稿では、コロナ禍の変化を踏まえた総菜戦略について、商品開発や若年層の取り込み、原価高騰への対応、店内加工の考え方などのポイントを解説する。
若年層の獲得が急務
コロナ禍では消費者の買物頻度が低下し、食品スーパー(SM)の客数が伸び悩んだ。総菜は消費期限が短いという商品特性上、客数の減少が売上にネガティブな影響をもたらす。総菜の売上高の推移を通年でみると、年末年始や節分、ひなまつりといったハレの日は比較的好調だが、平時は決して芳しくない。
コロナ禍で苦境が続く外食業界では、テイクアウトの強化やデリバリーの拡大、カテゴリーに特化した専門店の展開など、新たな活路を見出だそうとする動きが広がってきた。たとえば、トリドールホールディングス(東京都/粟田貴也社長)の讃岐うどん専門店「丸亀製麺」ではテイクアウトの売上高が全体の2割強を占めている。飲食店のテイクアウトや宅配はコロナ禍の収束後もある程度定着するだろう。異業態からの新規参入が活発となり、総菜市場の競争はさらに激化している。
SMでの格差も顕著になってきた。SMの総菜は従来、高齢者をターゲットとした品揃えが中心だったが、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長:以下、ライフ)、オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)、ロピア(同/髙木勇輔代表取締役)など、若年層ファミリー向けの商品を積極的に展開して客層をうまく広げているSMは好調だ。
こうしたなか、SMの総菜には「上質化」が求められている。SMの総菜は品質面で消費者からは必ずしも満足されておらず、家庭では副菜の一品として用いられるのが一般的だ。従来の値ごろ感にとらわれず、レストランに負けない本格的なおいしさや品質を追求し、食卓の主菜として当てにされる上質な商品を積極的に提供していくべきだ。
国内で人口減少が続き、客数が伸び悩むなか、総菜の売上を伸ばすためには客層を広げることがより重要となる。とりわけ、これまでSMで総菜をあまり購入してこなかった30~40代を中心とする若年層ファミリーをいかに取り込むかがポイントだ。
特定のカテゴリーを重点的に強化する
新しい客層を取り込むためには、
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