パン業界もキーワードは「韓国」 韓国料理研究家が教える、注目のパン4選
今川焼きの仲間!?「ケランパン」
「ケラン」とは「卵」の意。古くからある屋台パンで、今川焼きがルーツだという説も。そのため、クラシックな「ケランパン」は、日本の祭りでよく目にする、大判焼機のような鋳物の機器に生地を流し、ある程度生地に火が通ったら一方に卵を落としてパタンと型を閉めて作る、卵入りの大判焼きだ。型から取り出したら保温器で温めるホットメニューとして知られる。
「韓国ではかつて、パン屋とケーキ屋が一緒になっていて、区別がありませんでした。パンはご飯というより、おやつ。区別がないからケーキもパンの一つだったのです」とチンスギ氏。そんなエピソードを裏付けるように「ケランパン」は「パン」と呼ばれるが、発酵生地ではない。ホットケーキミックスを使うパンケーキのような甘い生地。店によっては卵を別立てで作り、メレンゲの力でフカフカに仕上げている。
この「ケランパン」が2022年に年流行したのも「マヌルパン」と同様、日本人インフルエンサーと「俺のベーカリー」がコラボしたことが発端だ。現在はその人気に追随し、コリアンタウンに専門店が誕生し、にぎわっている。韓国現地の定番は卵のみだが、ベーコンやチーズ、ウィンナーなどを組み合わせたバリエーションも登場。日本では小判形のシリコン型を使うことが多いようだ。入手しにくい材料は無い上に、発酵も不要。卵の見た目が目を惹くため、小売店のベーカリーコーナーでも取り入れやすいと言える。
ブレイク間近確実!「クァベギ」
「ねじる」を意味する「クァベギ」はいわゆる発酵生地を揚げた揚げドーナツ。「クァベギは、コロッケなどを売っている揚げ物屋のメニューの一つです。韓国では最近、クァベギのような昔ながらのおやつを可愛くスイーツ化した店が流行しています」とチンスギ氏。モッパン(食事動画)ユーチューバーから話題となり、日本でもコリアンタウンに専門店が誕生し始めている。
生地の特徴は、もち粉と強力粉を配合したモチモチ食感。韓国人が好むヒキの強い食感だ。昔ながらの定番はグラニュー糖をまぶしたものだが、現地ではバジルトマト、塩キャラメル、ナッツチョコレートなどさまざまなフレーバーが。いわゆる「ドーナツ」のため、チョコレートやグレーズ(糖衣)、トッピングなどを掛け合わせ、生地も個性を出せばバリエーションは無限大。SMやCVS商品としても合っている。