パン業界もキーワードは「韓国」 韓国料理研究家が教える、注目のパン4選

2022/05/05 05:55
フードライター 佐藤 良子
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コロナ禍で生まれた「おうち時間」をきっかけに、「Netflix」で韓国ドラマ人気に火がつき、主人公たちが美味しそうに頬張る食事から「K-FOOD」に注目が集まった。韓国食品は今やスーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)にも並ぶ。そして今、SNSで飛び交うのが、韓国のスイーツやパンの情報だ。中でも今回は2020年から人気の「マヌルパン」や「韓国トースト」、今年話題の「ケランパン」、ネクストブレイク間近と言われる「クァベギ」を紹介。さらに現地ではどのように売られ、食べられているパンなのか、韓国家庭料理研究家のチンスギ氏に話を聞いた。

ケランパン
今川焼きがルーツだという説もある「ケランパン」

韓国のロングセラー「マヌルパン」

 ニンニクを意味する「マヌル」。2020年〜2021年に流行したきっかけは、韓国で人気の同商品を日本人インフルエンサーが監修し「俺のベーカリー」が販売したことが発端だ。店頭、オンラインで計9万6000個以上を売り上げ、追随した町のベーカリーにもマヌルパンが数多く登場した。

 特徴は丸く成形して焼いたバゲット生地に、十字の切り込みを入れ、溶かしたパセリ入りニンニクバターにくぐらせ、中央に砂糖や練乳で甘くしたクリームチーズを絞って再び軽く焼く。噛み締めるとニンニクバターがジュワッとあふれ、クリームチーズのコクが迫る甘塩っぱい味だ。

 一方、チンスギ氏によると韓国で昔から売られるイメージとはやや異なる。「マヌルパン」とは日本の「クリームパン」のような昔ながらの定番で、韓国のベーカリーに行けば必ずあるロングセラー品。

 韓国現地でも生地はバゲット生地またはソフトバゲット生地。日本で紹介されているように丸く整形して焼いたバゲットもあれば、トラディショナルな棒状のバゲットやミニ食パン型で焼いたバゲットを厚くスライスした形も。そんな姿形は違えど、焼成してから切り込みを多数入れ、ニンニクバターにくぐらせて仕上げにグラニュー糖をまぶすのが現地流。つまりクリームチーズのアレンジは現代的だという。「ガーリックフランス」を提供している店ならば、材料が似るためすぐに取り入れられるのが魅力だ。 

屋台のイメージを刷新した「韓国トースト」

「おっさんトースト」(大阪・生野)のウィンナートースト(600円)。甘い食パンをバターで焼いた甘塩っぱい味。

 韓国では「トストゥ(=トースト)」と呼ばれる屋台のホットサンドだ。「朝、駅の改札を出ると必ずあるのがキンパ屋とトースト屋の屋台。ハルモニ(おばあさん)が、簡単なテントを出し、早朝〜午前だけ営むことが多いですね。お客さんは購入して食べ歩きながら通学・出勤するのが韓国の朝の光景です」とチンスギ氏。

 注文ごとに作る商品は、鉄板に落としたマーガリンで薄切りのトーストを焼き、溶きほぐした卵に千切りのキャベツやニンジンなどを入れたオムレツ風の玉子焼きを焼いて片方のパンに乗せる。ケチャップとグラニュー糖をかけて味付けし、もう一枚のパンでサンド。アルミホイルを巻いて渡される1200円程度のファストフードだ。

 こうした屋台パンをおしゃれに刷新し、若年層にヒットしたのが、2018年に韓国・ソウルに誕生したトースト専門チェーン「EGG DROP」だ。注文ごとに鉄板で焼く調理法は、それまでと同じだが、バターを使い、パンを厚切りのブリオッシュ生地にしてリッチな味にアップグレードした。具材は定番の玉子焼きにソーセージ、ベーコン、ハムなどを組み合わせ、副素材としてチェダーチーズやアボカド、ピクルス、フレッシュの千切りキャベツなどを挟む。分厚いため、提供時はボックスに入れたのも同店が最初だ。

 現在、韓国全土やニューヨークにも支店を出す他、類似の競合店も数多く誕生。2020年にはさまざまなブランドが日本に上陸し、現在も全国に勢力を拡大中。若年層を中心に行列ができている。店によっては甘めの食パンを使ったり、よりパンを分厚くしたり、自家製パンにこだわる店も出てきた。また主素材はハンバーグやプルドポーク、プルコギ、味付けはケチャップ、ハニーマスタード、照り焼きソース、マヨネーズ、BBQソースなど、各ブランドによって独自性を出している。

 パンに水分が移行しやすい野菜や玉子を使うため、作り置きの常温商品には向かないが、注文ごとに作るフードコートのテナント店やフードトラックならば親和性があることは間違いない。

 

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