食品スーパー相関図2025 トライアル、ヨークHD、ロピア……激変必至の市場を展望!
大手コングロマリットのグループ再編、大手による中堅・中小チェーンの買収、異業種との提携と、以前からM&A(買収・合併)が活発な食品スーパー(SM)業界。直近は業界勢力図を塗り替える大型M&Aが相次いで発表され、多くの関係者を驚かせた。不透明な事業環境が続く中、大手流通グループ、新興チェーン、外資ファンドなどが入り乱れ、相関図は複雑さを増している。
SM業界では、再編絡みのビッグニュースが相次いでいる。直近で最も注目を集めたのがトライアルホールディングス(福岡県:以下、トライアルHD)による西友(東京都)の買収だ。
トライアルHDは2025年3月、西友を完全子会社化することを発表した。25年7月1日に、米投資ファンドのKKRとウォルマート(Walmart)が保有する西友の全株式を取得する。首都圏を中心に240店舗超を展開する西友、北海道から鹿児島まで340店舗超の店舗網を持つトライアルHD。両社の売上高を単純合算すると1兆2000億円を超える見込みだ。

トライアルHDは西友買収を「さらなる業界再編の布石」と位置付け、「全国規模の業界再編を主導するための礎を築く」(買収発表の配布資料より)との方針を示している。国内SMの再編はこれまで、イオン(千葉県)を筆頭とする大手コングロマリットと、アークス(北海道)やバローホールディングス(岐阜県)などのリージョナルが主導してきたが、今後はトライアルHDも主要プレーヤーとして関わってきそうだ。
なお、西友はM&A発表前の24年8月、九州事業をイズミ(広島県)傘下のゆめマート熊本(熊本県)に譲渡。24年10月には北海道事業をイオン北海道(北海道)に売却している。イオン北海道は24年中に承継した全9店舗をリニューアルし、「イオン」「ザ・ビッグ」などへの転換を完了した。
九州5県の69店舗を承継したゆめマート熊本は譲渡前から続く「サニー」屋号を維持。25年1月には福岡県福岡市内に「サニー」の新店をオープンしており、新規出店も含め九州エリアで事業を拡大する構えを見せている。
ベインキャピタルがヨークHDを買収!
もう1つ、多くの注目を集めたのが、セブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)の“非コンビニ事業”の売却だ。アクティビスト(モノ言う株主)からの圧力、直近では外資からの買収防衛を背景に、セブン&アイの経営を巡っては、イトーヨーカ堂(東京都)を中心とする「スーパーストア(SST)事業」の行方が注目されてきた。
そうした中、セブン&アイは24年10月に中間持株会社のヨーク・ホールディングス(東京都:以下、ヨークHD)を設立。その傘下に、イトーヨーカ堂やヨークベニマル(福島県)などSST事業グループ会社29社がぶら下がる体制とした。
このヨークHDを買収したのが、米投資ファンドのベインキャピタルだ。セブン&アイは25年3月、ヨークHDをベインキャピタルに8147億円で譲渡することを取締役会で決議、最終契約を締結したと発表した。25年9月1日を効力発生日とし、セブン&アイが35%の持株分を再出資。ヨークHD株式の保有割合はベインキャピタルが60%、セブン&アイが35.07%、創業家が4.93%となる予定だ。
新体制ではIPO(新規株式公開)をめざすとするヨークHD。ベインキャピタルは、長らく苦境が続くイトーヨーカ堂をはじめSST事業会社をどうやって再成長に導くのか。新戦略の発表が待たれる。
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