日本の消費者が「欧州化」!いまこそ欧州小売に学ぶこととは?
近年、日本の小売業でも、欧州小売市場について現地視察などを含めて熱心に研究する企業が増えている。積極的なサステナビリティへの取り組みや緻密なプライベートブランド(PB)の開発手法など、米国小売とはまた異なる特徴を有する企業の多い欧州は、ベンチマークする対象として確かに魅力的だ。しかし、消費スタイルや食品・環境に関する規制が大きく異なるなか、具体的に何を学び取り入れるかを“抽出”する作業は容易ではない。最新の欧州市場を俯瞰しつつ、そのためのヒントを提示したい。
欧州小売業が持つ「業態多様性」の背景
欧州の小売市場の特徴であり、かつ日本の小売業が学ぶべきポイントとしてまず挙げられるのが、消費者の所得やライフスタイルに対応した結果としての、「業態の多様性」だ。
日本に比べ伝統的に社会的身分や所得の格差が大きかった欧州では、各社・各ブランドがターゲットとする消費者層ごとに細かく業態が分かれている。とくにイギリスではその傾向が顕著で、ウェイトローズ(Waitrose)や米ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)は富裕層、セインズベリー(Sainsbury’s)は中流層、そしてテスコ(Tesco)は主に低所得層が多く住まうエリアで店舗展開をしてきており、すみ分けが明確だ(図表❶)。
他方、ドイツの場合、アルディ(Aldi)やリドル(Lidl)のようなハードディスカウンターの存在感も大きい一方で、エデカ(EDEKA)など総合スーパー、スーパービオマルクト(SuperBioMarkt)やビオランド(Bioland)のようなオーガニックスーパーやファーマーズマーケットなど、所得の格差だけでなく消費者の価値観の多様性が業態の多様性に色濃く反映されている。
日本では欧州に比べ消費者の横並び意識が強く、「人口全体がマス層」であったため、小売業は特定の消費者にターゲットを絞ることは得策でなかった。しかし近年は周知のとおり所得の格差が拡大しているうえ、「買物の選択基準として何を重視するか」という消費者の消費に対する価値観も大きく多様化している。
“欧州化”する日本の消費者
図表❷はローランド・ベルガーがグローバルで行っている消費者分析の日本版の結果を「消費者セグメント」のかたちでまとめたものだ。「何を基準に買物を選択するか」という消費者の価値観に基づいたセグメンテーションとなっている。
従来日本では、
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