[ワシントン 5日 ロイター] – 米商務省が5日公表した8月の貿易収支は、赤字額が前月比4.2%増の733億ドルと、過去最高となった。企業が在庫を補充するために輸入が増えた。第3・四半期の経済成長が減速したことを示す最新の兆候だ。市場予想は705億ドルの赤字だった。
インフレ調整後の8月のモノの貿易赤字は、19億ドル増の1018億ドルとなった。1日に発表された個人消費支出では、高インフレで7月に減少した後、8月には緩やかに回復していた。
アトランタ地区連銀は、第3・四半期の国内総生産(GDP)の成長率が年率2.3%に抑制されると予測。第2・四半期は6.7%だった。貿易は4四半期連続でGDP成長率を押し下げている。
8月のモノの輸入は1.1%増の2391億ドル。医薬品、玩具、ゲーム、スポーツ用品などの消費財がけん引。産業用資材と原料の輸入も増加した。
一方、自動車・同部品の輸入は15億ドル減少。世界的に半導体が不足し、生産に支障をきたしていることを反映した。新型コロナウイルスのワクチン接種が増え、旅行などサービスへの支出が戻ってきているものの、モノに対する需要は依然として強い。
サービスの輸入は13億ドル増加し479億ドル。全体の輸入は1.4%増の2870億ドルと、過去最高を記録した。
モノの輸出は0.7%増の1497億ドルと過去最高。輸出は、非貨幣用金や天然ガスといった産業用資材と原料が増加した。一方、自動車・同部品や民間航空機、産業用機械などの資本財は減少。トウモロコシの輸出も減った。
サービスの輸出は、1億ドル減の640億ドル。パンデミック関連の規制により旅行収入が依然として低迷している。ただ、ビジネスサービスや知的財産権の使用料は増加。全体で8月の輸出は0.5%増の2137億ドルとなり、2019年5月以来の高水準となった。