中国小売で明暗 コロナ乗り切った百貨店と危険水域のショッピングモール、その差は?

中国のショッピングモールの空き店舗率が“ 危険水域”を超えている。コロナ禍の影響で、以前は平均5%程度だったのが11.77%に上昇し、存続が危ぶまれるモールも出てきている。北京、上海などのいわゆる一級都市でも10.06%、蘇州、成都などの二級都市では12.68%にもなる。

コロナの抑制に一定の成功を示した中国の経済は、コロナ以前と同等、あるいはそれ以上の水準にまで戻しているが、それでも消費行動は大きく変わった。外出は「近くに短時間で」という傾向が顕著になり、飲食も店ではなくデリバリーを頼んで自宅で食べることが増えた。飲食店はそれに対応して、自宅で簡単に調理ができる半調理品の販売も始めている。また、旅行も都市部近郊のテーマパークや観光スポットが人気だ。このような傾向がコロナ復調期の一時的なものか、それともコロナ後も定着する新しい消費行動なのかが関係者の大きな関心事になっている。
そのなかで、郊外型のモールが苦しい状況に追い込まれている。冒頭で触れたように、とくに落ち込みが大きいのは天津や蘇州など、それぞれ北京、上海という大都市に控えるエリアのモールだ。従来は、北京や上海の市民がクルマで1~2時間かけてやってきて、一日をそこで過ごすといった行動が主だったが、コロナ禍で多くの人々は地元の都市型モールや百貨店に流れてしまったためだ。
百貨店がコロナ禍を追い風にできた理由
しかし、モールの不調の理由はそれだけではない。多くのモールでは、
チャイナ&アジアトレンド の新着記事
-
2025/12/04
中国の「ラッキンコーヒー」、満を持してのNY進出も苦戦のワケ -
2025/11/05
中国でも主流に?アリババがタッチ決済で描くシェア拡大戦略 -
2025/10/04
「ラブブ」の大ヒットに沸くも毎日が正念場? 中国玩具メーカーの“憂鬱” -
2025/09/04
中国でも増殖する小型スーパー 競争の軸は「30分配達」 -
2025/07/19
EC プラットフォーマーとお客を取り合う!? 中国で進む 買物の“ AI 化” -
2025/06/20
EC特有の不良在庫リスクを削減! 中国EC大手・京東が描く「再商品化」の新スキームとは?
この連載の一覧はこちら [58記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-07長野県内最大「イオンモール須坂」が開業! イオンスタイルでは非食品の“専門店化”に注力
- 2025-11-18第127回 ショッピングセンターが「フロア収支」を採用しない理由
- 2025-11-06南アフリカ初の「ウォルマート」開業 英国の「アマゾンフレッシュ」閉鎖へ
- 2025-11-06「街ナカぐらし」に寄り添う!「イオンモール仙台上杉」の館づくりを解剖
- 2025-10-21実例に見る「危ない商業施設」の見分け方
- 2025-11-13知られざる四国の激戦地・愛媛県西条市 トライアル進出で環境急変か
- 2025-11-13イズミ、ハローズ、ダイレックス……中四国最大都市・広島市の視察の仕方
- 2025-11-09新潟県初の「そよら」がオープン イオンリテールの県下での存在感さらに大きく
- 2025-12-01第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定
- 2023-06-29多様化するギフト機会の中で、減少続く中元・歳暮の生きる道
関連キーワードの記事を探す
第128回 少子高齢化時代におけるショッピングセンターのターゲット設定
イズミ、ハローズ、ダイレックス……中四国最大都市・広島市の視察の仕方
知られざる四国の激戦地・愛媛県西条市 トライアル進出で環境急変か




前の記事
