ユーロ圏総合PMI、1月は47.5に急低下 ロックダウンが影響
[ロンドン 22日 ロイター] – IHSマークイットが発表した1月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値は、総合指数が47.5となり、前月の49.1から大きく低下した。新型コロナウイルス感染抑制のためのロックダウン(都市封鎖)でサービス部門が大きな打撃を受けた。
ロイター調査の予想は47.6だった。
欧州各国の大半で接客部門や娯楽部門が閉鎖を強いられたことで、サービス部門PMIが急低下。一方、ほぼ平常通りの操業が可能だった製造業部門は堅調だった。
●オックスフォード・エコノミクスのトマス・ドボラック氏は「新型コロナ感染率の上昇で各国は感染防止策の延長・強化を余儀なくされた。PMI速報値は今年第1・四半期のユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率がマイナスになる可能性を示唆している。パンデミック(世界的な大流行)が収まるまで大幅な景気回復があるとは予想していない」と述べた。
IHSマークイットのチーフ・ビジネス・エコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「新型コロナ感染抑制策が厳格化された影響で、ユーロ圏経済がW字型の不況に陥ることは避けられない見通しだ」と指摘。「ただ、昨年春の景気落ち込みよりも深刻度合いが低いことは救いだ。製造業部門は比較的持ちこたえており、輸出需要も増大しているほか、ロックダウン措置も平均的に見て昨年より厳しくない」とした。
サービス部門PMIは46.4から45.0に低下。市場予想は44.5だった。行動制限は当面続くとみられ、経済活動も縮小することから、企業は値下げを強いられている。価格指数は48.4から46.9に低下し、昨年6月以来の低水準を付けた。
一方、製造業PMIは55.2から54.7に低下したものの、景況の拡大・悪化の分かれ目となる50は大きく上回った。市場予想は54.5だった。
総合PMIに反映される生産指数は56.3から54.5に低下した。
ただ製造業各社は引き続き人員削減に動いており、雇用指数は49.2から48.9に低下した。
総合将来生産指数は約3年ぶり高水準だった64.5から63.6に低下したが、ワクチン接種の進展を受けて今後への楽観的見方は強まっている。
ウィリアムソン氏は「最近の新型コロナ感染者数増が楽観論をいくぶん後退させてはいるものの、ワクチン接種の進展が今後の見通しに対する自信を高水準に保っている」と述べた。
●一方、キャピタル・エコノミクスのジェシカ・ハインズ氏は「先行き見通しはワクチン接種の進展次第だ。すでに進捗が遅いワクチン接種が一段と遅れるようなことがあれば、景気回復が後ずれするだけだ」との見方を示した。