米国で「やせ薬」が大流行 メーカー、小売が受ける「大きな影響」とは
アパレルでも在庫管理手法に変化
アパレル小売においても、やせ薬の流行に伴い、興味深い変化が起きている。米ワシントン・ポスト紙は9月8日付の紙面で、「ニューヨーク市の裕福なアッパーイーストサイドにおいて、2022年から2024年にかけて婦人向けSサイズの購買が5%増えたと、調査企業のインパクト・アナリティックス(Impact Analytics)が明らかにした」と報じた。
また、2022年から2024年にかけて同市マディソン・アベニューの婦人服売上において、XXS、XS およびSサイズは12%も伸びたのに対し、L、XLおよびXXLサイズは11%落ちたのである。この現象とやせ薬使用増加の因果関係は明らかではないものの、いくらかの相関関係はあるだろう。
同時に、ファッション誌の米ヴォーグの調査によれば、メンズウェアにおいてぽっちゃり体形向けのプラスサイズ生産を減らす企業が増えている。
小売に詳しいインディアナ大学ビジネススクールのマンスール・ハミトフ助教はワシントン・ポスト紙の記事で、「やせ薬の使用者は毎月15万円ほどを自腹で出せるほど経済的に豊かであるため、この『ダウンサイジング』は大きな商機だ」と述べた。
食品においても、アパレルにおいても、やせ薬流行の影響をいち早く正確に分析し、裕福層の使用者向けに商品棚構成や在庫を最適化できる小売が業績を伸ばすと思われる。