いま米国小売で新たに注目すべき4つの成長株とは?
米国においてもコロナ禍は消費者意識を大きく変容させ、日々の生活において消費者が重要視することはいっそう多様化している。そのなかで小売業にとって今後の成長戦略に欠かせない取り組みとしてとくに指摘されているのが、「パーソナライゼーション」「サステナビリティ」「エンターテインメント」「ヘルス&ウエルネス」といったテーマだ。本稿ではそれらの領域において市場から注目を集めている企業を、オンラインとオフラインのそれぞれから取り上げる。
スティッチ・フィックス(STITCH FIX)
緻密なデータ分析で“服を選ぶストレス”を軽減
オンラインでパーソナルスタイリングサービスを提供するスティッチ・フィックスは、日本のアパレル業界でもすでに著名な企業だ。2011年創業の同社は勢いを失うことなく成長を続けている。21年7月期の売上高は21億100万ドル(約2630億円)で対前年度比22.7%増。アクティブユーザー数は417万人で同18.2%増と伸長した。
スティッチ・フィックスは、利用を希望するユーザーに対して行う事前アンケートで収集・分析したデータをもとに、好みと体のサイズに合った衣服を毎月5着送る。同社ではこのサービスを「フィックス」と呼ぶ。ユーザーは送られてきた商品のうち気に入ったものだけを購入し、不要な商品は返品する。このプロセスを繰り返すことで「何を購入したか」「何を返品したか」のデータが蓄積され、これに商品データなどさまざまな情報を組み入れた分析結果と、スタイリストが持つ知見を組み合わせて、新たに送る衣服が決定される。回数を重ねるごとにデータが積み上がり、ユーザーの好みに合った商品を提案できる精度が上がるという仕組みだ。
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一般的にはECを利用する場合、大量のアイテムの中から好みの商品を見つけ出すのに一定の労力が必要となる。しかし、「フィックス」を利用すればその手間をかけることなくパーソナライズされた商品が提案される。この点が人気を呼んでいるのだ。
当初は婦人服のみを取り扱っていたが、紳士服、子供服、マタニティと徐々に品揃えの幅を拡大。また、人気ブランドに加えて、「マーケット& スプルース(Market & Spruce)」など複数のプライベートブランドも扱うようになった。19年5月には英国でも事業をスタートしている。
そして21年8月、スティッチ・フィックスは新たなサービス「フリースタイル」を導入した。これは事前アンケートや購買履歴に基づいてショッピング画面が
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