人気アナリストが小売7業態の決算を大総括! 業態・企業で明暗を分けたものとは?
前年度に引き続き、小売業の2024年度決算は、企業間格差が顕著に表れた。依然続く円安、終わりの見えないインフレ、人件費をはじめとしたコストアップ、足元ではインバウンド失速の動きが見られるなど不透明感が増す中、業態内の優勝劣敗が鮮明になっている。
業界の人気アナリスト、UBS証券の風早隆弘氏は24年度決算をどう見たのか。
市場堅調のSM各社の業績は明暗
小売業界の2024年度決算は、「計画未達となった企業が少なかった」という点で全体的には順調だったと評価でき、大きなサプライズはなかった。業態を問わず二極化がすすみ、優勝劣敗の様相を呈している。
食品スーパー(SM)は企業によって業績の明暗が分かれた。ヤオコー(埼玉県)やハローズ(岡山県)、ライフコーポレーション(大阪府)など健闘した企業がいくつか見られた一方で、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)やオークワ(和歌山県)などは減益に陥った。業績が振るわない企業にとっては、負のスパイラルを断ち切ることがより難しい状況になっている。
M&A(合併・買収)が必ずしも解決策ではないこともわかってきた。これまでは一般的に「大きい会社はいい会社」とされてきた。
だが、たとえば24年度決算では、売上高で4倍の差があるフジ(広島県)とハローズの営業利益がほぼ同じだった。「規模が大きくなれば収益性もよくなる」という発想の転換が必要かもしれない。

また、25年10月に持株会社に移行するヤオコーのように、強い企業が次の一手を打ち、中長期の展望でさらなる成長をめざすなか、単なる数合わせの連合体では勝てなくなるリスクがより高まっている。ただ、SM業界の再編がすすむことは間違いなさそうだ。これを前提として、仲間づくりに向けた体制を整えておくことは望ましい。
ヤオコーやマミーマート(埼玉県)の持株会社化は、これまでは実質的に単独路線だった企業がM&Aに打って出る姿勢の表れともいえる。SM企業が新たなM&Aの成功事例をつくっていくことに期待したい。
SMはインフレが続く限り市場規模が伸びやすい業態で、マーケットとして恵まれている一方、この先は最低賃金の上昇が見込まれる。収益性の低い企業はより厳しくなり、市場規模の拡大の恩恵を享受できる企業は限られるだろう。
際立つセブンの迷走感、GMSに必要な「経営論」
コンビニエンスストアの24年度決算は、セブン-イレブン・ジャパン(東京都:以下、セブン-イレブン)の厳しさを確認する結果だった。加盟店の1店舗当たり収益は、ローソン(東京都)やファミリーマート(東京都)が増加した一方、セブン-イレブンは前期を下回った。
ローソンとファミリーマートは、付加価値戦略がお客にきちんと支持され、客単価をうまく上げられている。
その一方でセブン-イレブンは迷走しているように見える。加盟店の1店舗当たり収益が
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