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2024年度好決算のファミリーマート、新年度に掲げる2つの柱とは

北野 裕子 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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ファミリーマート(東京都/細見研介社長)は4月9日、2025年2月期(24年度)決算を発表した。プライベートブランド(PB)などの販売が伸びたほか、広告・メディア関連事業が好調で事業利益(営業利益に相当)、全店平均日商はともに過去最高を更新した。話題性のある商品やキャンペーン、リテールメディア事業など独自の取り組みを進めてきたファミリーマート。さらなる成長をめざし、25年2月期はどのような施策を掲げるのか。

事業利益は過去最高更新

ファミリーマートの25年2月期決算について説明する細見研介社長(4月9日、東京都内)

 ファミリーマートの25年2月期(24年度)の連結業績(IFRS)は、営業収益が対前年比0.8%減の5037億円、事業利益が同1.5%増の850億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同63.9%増の849億円となった。チェーン全店売上高は3兆2438億円(同0.9%減)だった。

 事業利益は過去最高を更新し、営業収益も子会社を他社に譲渡した影響で前年から40億円の減収となったが、それを除けば実質25億円の増収だという。親会社の所有者に帰属する当期利益は中国事業再編による特別利益が寄与し、前期から約330億円増加する結果となった。

 チェーン全店平均日商は過去最高の57万3000円となり、既存店日商は42カ月連続で前年同月超えを記録している。期末店舗数は1万2651店で、320店を新規出店する一方で296店を閉店した結果、25店の純減となった。

 細見社長は24年度について「コスト上昇の圧力に晒されたが、価格以上の価値を感じていただける商品開発を徹底した」と振り返った。「白生コッペパン」などの人気商品をはじめ、PBの「ファミマル」を中心とした商品が支持されたほか、「たぶん40%増量作戦」などの独自企画が好評だったという。コンビニエンスウェアや文具も拡充も業績に寄与し、こうした取り組みが奏功した結果「事業利益の拡大を継続できた」と語った。

「生コッペパン」シリーズ
累計販売数1億2000万個を突破した「生コッペパン」シリーズ
ファミリーマートが展開するコンビニエンスウェア。折り畳み傘やポーチなど種類を拡大している

 先行投資してきたリテールメディア事業などのメディア関連事業を中心に、デジタル分野の強化も順調に進んでいる。ファミリーマートはデジタルにおける顧客接点を強化しようと、ファミペイやデジタルサイネージ「FamilyMartVision(ファミリーマートビジョン)」など複数の施策を展開する「カスタマーリンクプラットフォーム」の構築を推進してきた。ファミリーマートビジョンの広告収入やファミペイのダウンロード数が伸長するなどし、29年以降に設立した事業会社3社の営業利益は50億円に達したという。デジタル戦略としては、他にも店舗でのAIや勤怠管理システムの導入などが加盟店に浸透しつつある。

 商品開発、デジタル戦略といった取り組みが功を奏し、好業績で着地した24年2月期。21年2月期(22年度)より始まった中期経営計画(中計)の最終年度となったが、細見社長は「中計では『チャレンジする方のコンビニ』、『再成長の軌道に乗せること』を柱としていたが、加盟店一丸となってデジタル分野にチャレンジすることで、次のステージに加速度をもって突入できた」と手ごたえを語った。

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記事執筆者

北野 裕子 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

兵庫県出身。新聞社を経てダイヤモンド・リテイルメディアに入社し、ダイヤモンド・チェーンストア編集部に所属。

趣味は国内の海や湖を巡り、風光明媚な場所を探すこと。おすすめのスポットは滋賀県の余呉湖、山口県の角島大橋。

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