コスト増直撃で24年ぶり最終減益のニトリHD、減収予想の今期の打ち手は
通販事業が成長中!
強い逆風の中での経営となった2023年3月期のニトリホールディングスだが、かねて力を注いでいるEC、OMO(オンラインとオフラインの融合)は着実に進化を遂げている。コロナ禍の2019年から右肩上がりで増加しているニトリ公式アプリの会員数は1601万人に達している(2023年3月期末実績)。アプリ会員数の増加に伴い、ECの利用者数も増加。2024年3月期は会員数1900万人をめざし、EC事業の拡大に取り組んでいく方針だ。
2022年2月期に開始したインスタライブに加え、2023年3月期はライブ動画を見ながら気になる商品をその場で購入できるライブコマース「ニトリLIVE」を自社ECサイト内で週2回配信、視聴者数は累計260万人を突破した。ライブコマース事業は今後も人員を追加し、配信を強化していく計画だ。2023年3月期における、通期累計の国内通販売上高は911億円と前期から28.3%増となっている。
エディオンと資本提携、シナジーは?
異業種との連携にも力を注ぐ。ニトリホールディングスでは、2021年3月の島忠の完全子会社化に続き、2022年4月には家電量販店大手のエディオン(大阪府)と資本業務提携を締結、エディオンの主要株主となっている。
島忠事業においては、2022年4月より島忠の全店舗およびECサイト「シマホネット」において、ニトリポイントの付与および使用が可能になった。都心部に多く店舗展開する島忠において共通ポイント化が実行されることにより、「暮らしづくり」へのトータルソリューション提供の裾野拡大が期待される。2024年3月期は、ニトリグループの商品開発力でホームセンター商品をPB化し、粗利益率を改善を図るとともに、店舗の改装も順次行っていくとしている。
エディオンとの協業では、第一弾として2022年10月に「エディオン倉敷本店」(岡山県倉敷市)にて「エディオン×ニトリ」コラボブースを設置した。エディオンにおいてもニトリ商品の一部が購入可能になり、家具・インテリア・家電が連続性をもって店舗で販売されることで、そのシナジー効果が期待される。ニトリホールディングスの掲げるビジネスモデルである「製造物流IT小売業」の進化、加えて生活関連の新分類や新サービスの展開がこれらの資本業務提携によって実践されていると言えよう。
2024年3月期は国内129店舗の出店を計画しており、同期末の店舗数は国内902店舗となる見通しだ。業績予想では、売上高が対前期比1.7%減の9320億円、営業利益が同3.6%増の1451億円、経常利益が同2.0%増の1470億円、当期純利益が同5.1%増の1000億円と減収・増益を見込む。
資本業務提携に加え、海外展開も積極的に行いグローバルチェーンの確立に向けて前進を続けているニトリホールディングス。ホームセンターやアパレルなど事業領域の拡大・統合も行い中長期の経営戦略でも提唱している「ライフスタイル総合提案企業」に進化すべく走り続けている。