米ISM非製造業指数、11月は55.9に低下 6カ月ぶり低水準
[ワシントン 3日 ロイター] – 米供給管理協会(ISM)が3日発表した11月の非製造業総合指数(NMI)は55.9と、6カ月ぶりの低水準を付けた。新型コロナウイルス感染拡大を抑えるために導入された広範な事業規制が背景で、景気後退(リセッション)からの持ち直しが勢いを失っているとの見方を後押しした。市場予想は56.0だった。
10月のNMIは56.6だった。
指数は2カ月連続で低下。コロナ禍前の2月は57.3だった。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。サービス業は米経済の3分の2以上を占める。
ISMが1日に発表した11月の製造業景気指数は前月から低下した。多くの産業で新型コロナを理由とした欠勤率の上昇や消毒のための工場の短期的閉鎖、労働者の職場復帰や採用の困難に関する声が上がった。
米国は再び新型コロナ感染が急増しており、11月の新規感染者数は420万人、死者数は3万5000人を超えた。
政府による3兆ドルを超える新型コロナ支援策により、何百万人もの失業者が生活費を賄えたほか、企業は従業員を維持できたが、支援策はすでに失効したか今月中に失効する。同時に新型コロナ感染の再拡大により個人消費が鈍化している。支援策によって第3・四半期GDPは過去最大の伸びを記録していた。
米議会の超党派グループは1日、9080億ドルの新型コロナウイルス救済法案を発表した。上院共和党トップのマコネル院内総務は同日、別の法案を回覧。ムニューシン財務長官は2日、マコネル氏の法案について、議会の承認を得られればトランプ大統領が署名すると述べた。
第3・四半期GDPは33.1%増と過去最大の伸びになった。第2・四半期GDPは31.4%減と、政府が統計を開始した1947年以来の大幅な落ち込みだった。第4・四半期GDPの成長率予想は大方5%を下回っている。新型コロナ感染が急増する中で追加支援策はなく、一部のエコノミストは21年第1・四半期に景気が縮小するとみている。
NMIの内訳は、新規受注が57.2と、10月の58.8から低下。2カ月連続で低下している。受注残や輸出受注も低下し、サービス業が短期的に一段と鈍化することを示唆した。
一方、雇用指数は51.5と、10月の50.1から上昇。労働市場が11月に緩やかながらも回復し続けたことを示唆する。ロイターのエコノミスト調査によると、11月の非農業部門雇用者数は前月から48万6000人増と、景気回復が始まった5月以来の小幅な伸びとなる見込み。10月は63万8000人増だった。雇用者は2月のピークから960万9000人下回る水準となる。雇用の伸びは6月に付けた478万1000人増から鈍化している。
ハイ・フリークエンシー・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ルベーラ・ファルーキ氏は、「先行きの需要や活動の重しになる新たな規制や事業閉鎖でリスクは下向きだ」と述べた。