米総合PMI、11月は5年7カ月ぶり高水準 製造業が好調
[23日 ロイター] – IHSマークイットが23日公表した11月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は57.9と、10月の56.3から上昇し、2015年4月以来の高水準を付けた。製造業PMIが14年9月以来の高水準だった。新型コロナウイルス感染が急増する中でもコロナが引き起こした景気低迷からの回復が続いていることを示した。
製造業とサービス業ともに、最も高い市場予想を上回った。米経済は春に過去最大の落ち込みを記録した後、第3・四半期は力強く持ち直したが、最近の経済指標は景気回復ペースが鈍化していることを示唆していた。この日のPMIは最近の傾向に反する内容だ。
IHSマークイットの首席ビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は声明で「指数は、需要が一段と増したことを反映している。需要増に伴い企業は、調査を開始した09年以来の速さで人材を採用している」と述べた。
製造業PMIは56.7と、10月の53.4から上昇。市場予想の中央値である53.0を上回った。指数は50が景気拡大・縮小の節目となる。
サービス業PMIは57.7と、15年4月以来の高水準を付けた。10月は56.9だった。市場予想は55.0。
PMIのうち、雇用指数は過去最高のペースで伸びた。第1・四半期に始まった新型コロナのパンデミック(世界的大流行)による失業者が依然として1000万人を超える中、雇用指数は明るい材料となった。
大統領選が終わり、その後は新型コロナワクチンに関する前向きなデータも出ている。マークイットによると、これらを背景に調査回答者の向こう1年間の見通しを示す指数が14年5月以来の高水準を付けたという。
ただ、新規感染者数が過去最高を更新し続け、死者数も増える中、最近発表された他の経済指標には軟調さが見られる。
先週発表の10月小売売上高は6カ月ぶりの弱い伸びだった。先週の週間失業保険申請件数も1カ月ぶりに増加。現況を把握するためにエコノミストが注目する高頻度データは景気回復が鈍化していることを示している。
第4・四半期国内総生産(GDP)が、第3・四半期に記録した年率33.1%増を大幅に下回る伸び率になることは確かだが、景気がどの程度減速したかは定かでない。アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」によると、第4・四半期のGDP伸び率見通しは年率5.6%増となっている。