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日本電産、営業利益予想を29%増に上方修正 上期「想定上回る」

日本電産のロゴ
日本電産は26日、2021年3月期の営業利益(国際会計基準)予想を前年比29.0%増の1400億円に上方修正した。写真は同社のロゴ、2018年7月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 26日 ロイター] – 日本電産は26日、2021年3月期の営業利益(国際会計基準)予想を前年比29.0%増の1400億円に上方修正した。原価改善などで4―9月期業績が想定を上回ったことを反映した。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の平均は1425億円。

永守重信会長(CEO)は会見で、4―6月期は車載関係が顧客の生産停止などで出足が鈍ったが「7―9月でかなり挽回した。10―12月以降、さらに改善できると見ている」と述べた。売上高予想は同1.0%増の1兆5500億円、純利益予想は同79.6%増の1050億円に、それぞれ上方修正した。

会見に同席した関潤社長(COO)は中国での電気自動車(EV)向けトラクションモーターの販売状況について「ここにきて非常に急回復している」と述べた。昨年9月の月4000台に対し、今年9月は8000台超となったとし、中国のEV市場が対前年比6割増だったことから「これをはるかに超える増え方」と説明した。欧州も7―9月は7―8割の伸びだったという。

今後も新製品を追加していくとし「毎年、倍、3倍で成長していく」との見通しを述べた。25年にかけてEV普及の壁となっているバッテリーコストが大きく引き下がるとみているほか、欧州での環境規制強化によって「EVの発展が加速されていく」と指摘。これまでの引き合いを踏まえると、同社は25年に25%、30年に40―45%のシェアが確保できそうだと述べた。4―6月決算時に15社だった取引先は22社に拡大し、内訳は中国と欧州が大半で、日米韓が1社ずつだという。

25年に見込む500万台の生産体制としては中国の2工場で200万台、欧州1工場で100万台のほか、残る200万台分は需要を見極めて決めるとした。候補としてメキシコなどの米州を示唆した。トータルの投資額は、先行き受注が増加するケースも想定すると5000億円─1兆円との試算を示した。

電動バイクも中国とインドで展開する。HDD向けが減少してくる精密小型モーター事業で手掛けるという。

永守会長は、精密小型モーター分野でも付加価値の高い新製品が出てくることで「製品の広がりが売り上げと収益アップにつながると見ている」と述べた。コロナ禍では、落ち込んだ需要がいずれ元の規模に戻るのではなく、新しい市場も生まれているとし「変化に追随できる企業が生き残る」と指摘した。M&Aについては「人的・技術的に弱いところで積極的に再開する」という。コロナで企業買収をいったん休止していたが「方向性がわかってきた」ためだという。

想定平均為替レートは、1ドル105円、1ユーロ117円で変更していない。

20年4―9月期の営業利益は前年同期比12.0%増の691億円で、7月21日に同11.0%減の550億円としていた減益予想を上回り、増益となった。原価改善と固定費の適正化を進め、営業利益率は前年同期の8.2%が9.2%に改善した。原価改善の効果は今年度400億円を見込んでいる。

売上高は同0.1%増の7517億円、純利益は79.2%増の487億円で、こちらも7月時点の予想を上回った。前年にあった、同社が保有するセコップ社の冷蔵庫向けコンプレッサー事業の譲渡による損失がなくなり、純利益が大きく伸びた。