[東京 15日 ロイター] – 日銀は15日に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2020年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通しを、9人の審議委員の中央値で前年比マイナス4.7%とした。前回4月には公表していなかった中央値が再度公表された。委員の見通しのレンジはマイナス5.7─マイナス4.5%で、前回のマイナス5.0─マイナス3.0%から下方修正された。
消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の見通しの中央値はマイナス0.5%で、レンジではマイナス0.6─マイナス0.4%。4月のマイナス0.7─マイナス0.3%と比較してばらつきが小さくなった。
2021年度の実質成長率は前年比プラス3.3%。レンジはプラス3.0─4.0%と4月の同2.8─3.9%から小幅切り上がっている。22年度は中央値でプラス1.5%、レンジは同1.3─1.6%、4月はプラス0.8─1.6%だった。
21年度のコアCPIは前年比プラス0.3%(レンジ0.2─0.5%)、22年度は0.7%(0.5─0.8%)となっている。
日銀は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が収束すれば、日本経済は緩やかな回復軌道に戻るとみている。ただし、その前提として、1)大規模な第2波が到来しない、2)コロナにより企業や家計の成長期待が低下しない、3)金融仲介機能が円滑に維持される──との仮定を置いている。有効なワクチンなど治療薬が確立しない限り、これらの見通しは「非常に不透明」と強調している。