野菜・果物も備蓄拡大 !コロナウイルス長期化に備えるアメリカの消費者の今

ニールセン・カンパニー (Japan)
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外国産にリスクを感じ、国産の農産物を買う傾向が顕著に

 消費者は、食事の準備、美容ケア、セルフケアなどの領域で、購入しにくい製品やサービスを手にしようとさまざまな方法を試みている。今年の消費財の売上は、家庭での需要が高まった結果、過去数年の標準的な販売額を瞬く間に超えた。年初来3月28日までの消費財の総売上高は、カナダで前年比約27億ドル増、米国で前年比237億ドル増となり、どちらの国でも、この年初来の売上成長率は2019年全体の値をすでに上回っている。生鮮食品も成長しているが、他の食品や家庭用品がさらなる成長を遂げている。

図表2
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 また、消費者は今のところ生鮮食品を積極的に購入しているが、保存しやすく健康的な食品の購入を優先していることも分かっている。健康志向カテゴリの良い例は農産品で、消費者は、缶詰、瓶詰め、冷凍食品を積極的に購入している。年初来4月4日までの期間、カナダと米国の両国では冷凍保存可能な果物の購入がそれ以外の果物に対し3〜5倍増加している。

図表3
図表3

 日常生活にもたらされるさまざまな制限は、初期の予測をはるかに超えて消費行動に影響を与えている。北米の消費者は、冷凍可能で長期保存可能な農産品をかつてない量で備蓄。米国の生鮮パイナップルの販売は今年に入ってこれまでに3%減少しているが、冷凍および長期保存可能なパイナップルの販売はそれぞれ39%増、29%増となっている。

 冷凍および長期保存可能な農産品を販売する企業にとっては、売上が伸びているこれら商品の利用方法やお勧めレシピなどを消費者に対して継続的に提供することが重要となる。新型コロナウイルス感染症の影響を超えて成長を持続するには、消費者に対し保存した農産品の使用を定期的にリマインドし、使用を奨励することも大切。企業は、緊急時に発生したこうした行動を、長期的習慣として、また、缶詰や冷凍品の購買パターンとして、取り入れていく必要があるだろう。

図表4
図表4

 生鮮食品の生産者は、国産品に対する需要の高まりに備える必要がある。調査対象となった米国人の15%、カナダ人の14%は、コロナ前よりも頻繁かつ積極的に国産品を購入していると回答。消費者は諸外国との接点が多い商品に対しリスクを感じる可能性があり、生産者とサプライヤーは、商品が作られた国、州、農場、近隣地域の詳細を消費者に伝えることで、商品の透明性を保つことができるはずだ。

最新調査「新型コロナウイルスによる消費習慣への影響」について

この記事は、現在進行中の上記グローバル調査の一部であり、調査で取り上げられている多数のテーマ(オンラインオフラインショッピング、旅行、休暇プランなど)の一部のみを反映したものです。調査レポートの詳細、ご購入については、ニールセン・カンパニー合同会社までお問い合わせください。

この調査は、2020年3月にカナダと米国を含む70以上の市場で実施されました。世界規模で大きな変化が起こっており、あらゆる規模の企業にとって消費者の行動変容がどのようなビジネスチャンス生み出すのか理解することが不可欠となっています。

ニールセン・カンパニー合同会社では、消費者調査、ショッパー調査、販売予測、マーケティングROI分析、コンシューマーニューロサイエンス分析、海外市場情報提供などを行っています。
お問い合わせ:JPNwebmaster@nielsen.com

 

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