「ファッションとしての服」の時代ではない ユニクロ柳井正が進める「究極の普段着」とは!?

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 齋藤綾奈
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服に求める価値が変わった先にあるのが『Lifewear

「近年人々の服に対する価値が大きく変わりつつあると思います。ひたすら物質的に豊かになることを追い求める時代は終わり、服に求める価値は『ファッションとしての服』『着飾るための服』を超えて、『上質な生活のための服』へと大きく変わりつつあります。その本質を具体的に製品の形で再現したのが『LifeWear』。シンプルで完成度の高い部品としての服です。『LifeWear』というコンセプトは今、世界のファッションの最先端にあると思っています」

「『LifeWear』の価値観が今、世界中に支持を得ている背景には、過去の常識だった資源大量消費型の社会に対する人々の疑問と漠然とした不安感があります。アパレルの領域でも使い捨ての服に対する問題意識が生まれ、シンプルかつ高品質で、機能性に優れた、日常生活のための服が求められていると思います」

「今、世界には貧富の格差の拡大、難民問題、人種差別、気候変動など、深刻な問題が山積しています。アマゾンの大規模な森林火災、首都圏を中心とした台風被害に代表されるように、かつてない規模の災害が頻発しています。人類の永続的な繁栄に疑問符がつけられるような時代に合った、新しい生活スタイルが求められていると思います」 

成長しつづけるための発想と行動

「一つひとつの企業が、一人ひとりの個人が、自らの事業や仕事を通じて、社会の持続的な成長をめざす、そういう発想と現実の行動が必要な時代になったと思います。『LifeWear』は、その姿勢を商品として形にしたものであります。われわれは、使い捨ての服はつくりません。今、求められているのはスローガンではなく、具体的な行動です。現実の事業としてそれを形にすること、一歩ずつでも社会をよくすること、企業が明確な意思をもって行動することが必要だと思います。」

「その一環として、東レとユニクロが共同で新たな商品を販売します。お客さまが着られなくなったウルトラライトダウンを回収し、専用機械を使って自動でリサイクルをするほか、ペットボトルからリサイクルしたポリエステル繊維を使用した『ドライEX』の開発を進めています」

「このような取り組みは、永遠に持続可能な社会の実現を最優先に掲げる、われわれファーストリテイリングの服に対する価値観、われわれの生き方そのものを表現しています。近年、われわれと志を同じくする世界中の企業や個人とさまざまなコラボレーションができるのではないかとわくわくしています。その背景には、やはり『LifeWear』というコンセプトが影響していると思います」

「『服を変え、常識を変え、世界を変えていく』――。これはファーストリテイリングのステートメントです。われわれのすべての出発点と到達点がここにあります。優れた才能や技術をもつ世界中の個人や企業と力を合わせ、過去に例のないまったく新しい産業を生み出し、よりよい社会の実現に向けて貢献していきます」

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