独自調査で判明! コロナ禍で激変した食品小売の出店戦略とは
コロナ禍は多くの産業に大打撃を与えた一方で、食品小売業をはじめとした一部企業には特需をもたらした。コロナ禍の中で、小売業の出店戦略には変化はあったのだろうか。本稿では、独自のアンケート調査をもとに、コロナ禍の影響によって小売業の出店意欲の程度および重視する出店立地がどのように変化しているのかを確認するとともに、回答者の具体的なコメントも紹介し、多様化する食品小売業の出店戦略のトレンドを整理してみたい。
コロナ禍で高まる食品小売業の出店意欲
新型コロナウイルス感染症は人的被害のみならず、実体経済にも大きな影響を及ぼした。とくに飲食サービス業や宿泊業、娯楽業などへのインパクトは甚大だ。一方、食品小売業は、「働き方改革」「巣ごもり消費」といった消費者行動の変化による恩恵を受け、売上高が比較的堅調に推移している。しかし、食品スーパー(SM)やコンビニエンスストア(CVS)などの業態では、コロナ禍の初期から「郊外・住宅地立地の店舗と比較して、都市型店舗の売上高が厳しい」との声も聞かれる。

コロナ禍を経験したことによる店舗戦略の変化を明らかにすべく、ザイマックス不動産総合研究所は、早稲田大学石田航星研究室と共同で、2020年9月および21年6月に「コロナ禍における店舗戦略に関する実態調査」を実施した。小売業のアンケート調査対象は直近年度の売上高が30億円以上の企業で、20年は対象3552社(回答360社、回答率10.1%)、21年は対象3541社(回答191社、回答率5.4%)だった。
図表❶は、今回の調査対象の小売業を「食品小売業」と「非食品小売業」に分け、出店意欲の程度について時系列に示したものである。いずれの年も「店舗数拡大のために積極的に出店」と「優良物件に絞って出店」と回答した企業の合計は、非食品小売業よりも食品小売業のほうが若干高かった。その推移を見ると、
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