日本電産、来年度売上2兆円「届く」と社長 半導体内製化も検討
[東京 26日 ロイター] – 日本電産の関潤社長は26日、中期計画で示している来期の売上高2兆円の目標について「届くところにきた」と語った。
決算会見で見解を示した。
同社の2022年3月期の売上高見通しは前年比11.2%増の1兆8000億円と前回予想から据え置いた。連結営業利益見通しも1900億円と修正しなかった。
2021年第3四半期までの累計売上高、営業利益はともに過去最高を更新した。期末配当金を5円増配し、年間配当を65円とすることも決めた。
第3四半期の営業利益は443億円と、前四半期の458億円から減少。売上高は増収だったものの、家電商業産業用分野で不足ぎみだった材料の調達を優先したこと、一部顧客向けの値上げが第4四半期にずれ込んだことが主因だという。
世界一へ準備
永守重信会長は、電気自動車(EV)を駆動させるトラクションモーターに使用する半導体の内製化を検討していることを明らかにした。
サプライチェーン寸断による半導体不足を受けて「(調達を)外部だけに頼ると、今回のようなことが起きる。(内製化が)できればトラクションシステムは社内ですべての部品を揃えることができ、供給の心配はなくなる」といい、「世界一を狙うには、そこまで体制を作らないといけない」と説明した。
同社は同日、ソニーやルネサスエレクトロニクスで半導体事業を担った大村隆司氏を、半導体開発担当の執行役員に起用すると発表した。今後、企業買収の可能性も含め、大村氏が半導体事業の戦略を練るという。トラクションモーター事業の生産能力増強には、今後3年で3000億円を投資する計画。
永守会長はEVとともに、ロボット向け事業も今後の柱のひとつとする方針を明らかにした。「人工知能(AI)技術で工場は無人化していく。ロボットそのものを作る気はないが、他社ができないような、鍵となる部品を作っていく」という。
「失望」報道に怒りあらわ
永守会長が関社長に失望感を強めているとするブルームバーグの報道には、自ら「一切ない」と明言。会見終盤には「誰もかれも会ったことがない、知らない人が書いている。どこからそんなソースを勝手に取ったのか。ばかな話だ」と怒りをあらわにする場面もあった。