矢野経済研究所の調べによると、2021年度の国内酒類市場の規模は前年度比1.8%減の3兆1470億円(メーカー出荷額ベース)となる見込みだ。20年度はコロナ禍の影響で大幅な減少となったが、本格回復は22年度以降になりそうだ。
20年度の酒類市場は7.9%減の3兆2050億円と大きく縮小した。販売チャネル別に見ると、新型コロナウイルスの感染拡大により業務用チャネルが過去に例がないほどの苦境に陥った。一方、巣ごもり需要により家庭内消費が増加したことで、家庭用チャネルは好調だった。
21年度もコロナ禍の影響が残っており、東京などの大都市圏を中心に飲食店の時短営業や酒類販売の自粛が続いたことから、市場規模は前年度をさらに下回った。同研究所では、22年度から市場は回復基調に戻り、20年度以前の規模に回復すると予測している。
なお、20年10月にビール類の酒税改正が実施され、26年までに酒税が段階的に一本化されるが、1回目の改正でビールは7円の増税(350ミリリットル当たり)、発泡酒は据え置き、新ジャンルは約10円の増税となった。
これにより、ビールは減税効果と巣ごもり需要で家庭向けの缶製品が好調に推移、20年10月以降は前年同期比でプラスとなったメーカーも多い。逆に増税となった新ジャンルは低迷が続いている。