米GDP改定値、10─12月期は2.1%増 新型肺炎で先行き暗雲

ロイター
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ミシガン州ロムラスの工場で働く人
米商務省が27日発表した2019年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増だった。速報値から改定されなかった。ミシガン州ロムラスで昨年8月撮影(2020年 ロイター/REBECCA COOK)

[ワシントン 27日 ロイター] – 米商務省が27日発表した2019年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値から変わらず、市場予想と一致した。輸入の減少が下支え要因となった。

第3・四半期のGDPも2.1%成長だった。19年のGDPは前年比2.3%増と、3年ぶりの弱い伸びとなり、トランプ政権の成長率目標である3%を2年連続で下回った。

同時に発表された1月の耐久財受注は、民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比1.1%増と、1年ぶりの大幅な伸びを記録したが、市場ではもっぱら新型コロナウイルスの感染拡大が嫌気され、株式相場はこの日も大幅安になった。

MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済が景気後退(リセッション)に向かっているというのが市場の見方。新型ウイルスが世界のサプライチェーン(供給網)を寸断する中、景気後退を逃れられるとしたら奇跡だろう」と述べた。

GDPは速報値から改定されなかったものの、個人消費は下方改定された。設備投資は2.3%減と、速報値の1.5%減から下方改定された。3四半期連続でマイナスとなり、落ち込みが続いた期間は09年以来の長さだ。設備投資のうち機器への投資の下方改定が目立った。政府支出も当初予想より弱かった。一方、住宅建設投資と在庫は上方改定された。

国内需要を計るために用いる貿易と在庫、政府支出を除くGDPは年率で1.3%増と、速報値の1.4%増から下方改定された。

金融市場で新型コロナウイルスに関する不安がまん延している。新型ウイルスによって中国を中心に2000人超が死亡した。感染は他国に拡大している。11年目に入った過去最長期間続く米景気拡大へリスクを及ぼしかねない。

比較的安全な資産とされる国債などが好まれ、株式などのリスク資産は売り込まれている。また、金利先物市場が織り込む米連邦準備理事会(FRB)の利下げ確率は上昇。FRBは19年に3回利下げした後、少なくとも20年末までは金利を据え置くことを示唆してきた。

現時点で新型ウイルスが米経済に打撃を与えている明確な兆しはないが、エコノミストは不振にあえぐ製造業が供給網の混乱や輸出低迷に直面すると見込む。サービス業は旅行・観光業の不振が打撃となる可能性がある。

株の値下がりが続けば消費者心理が冷え込み、既に鈍化している個人消費が低迷する可能性がある。エコノミストはまた、企業利益が圧迫されることで解雇が増え雇用が鈍化することを不安視している。労働市場は米経済の主要な下支え要因だ。

トランプ米大統領は26日、新型ウイルスについて、米国民に対するリスクは「非常に低い」と述べた。保健当局が全力で対策にあたる準備をしているとした。

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