[東京 14日 ロイター] – 日銀が14日発表した12月短観(全容)によると、中小企業の「宿泊・飲食サービス」の資金繰り判断DIはマイナス33と、「苦しい」が「楽である」を大幅に超過した。企業の資金繰りは全体的に改善基調が続いているものの、一部の対面型サービス業では引き続き厳しい状況であることが改めて確認された。
資金繰り判断DIは、資金繰りが「楽である」と回答した社数の構成比から、「苦しい」と回答した社数の構成比を引いたもの。全規模・全産業では2020年6月調査でプラス3をつけた後、小幅に改善し続け、今回12月調査でプラス12となった。
対面型サービス業の景況感は緊急事態宣言の全面解除などを受けて足元で大幅に改善したものの、資金繰りについては、なお厳しさが残る。中小企業の資金繰り判断DIは「宿泊・飲食サービス」がマイナス33だったほか、「対個人サービス」がマイナス11となった。
日銀の雨宮正佳副総裁は8日の徳島県金融経済懇談会でのあいさつで「感染症の影響を強く受ける対面型サービスの中小企業は、資金繰りの改善が遅れている」との認識を示したが、最新データでもそれが確認された。
日銀は、12月16─17日に開催する金融政策決定会合で、来年3月末に期限を迎える新型コロナ対応特別プログラムの扱いを検討する見通し。市場からは「政府が経済対策の中で中小企業向けの新たな給付金を設定したばかり。日銀も政府と協調して中小企業の資金繰りを支えるという判断に至る可能性が高い」(ニッセイ基礎研究所の上席エコノミスト、上野剛志氏)との見方が出ている。