ネットスーパーで利益を出すのに、物流の自前化が必然の理由
「リアル店舗は楽しい」は本当なのか?
「人々は『楽しさ』を求めてリアル店舗で買物をするのだ」と主張する業界関係者は多い。実際のところ、それは本当だろうか。私は違うと確信している。お客さまは、日々の食卓に出す食材を求めており、ほかの買物手段がないため、「しかたなく」SMへ足を運んでいる。体が不自由な方や妊娠している方、また仕事で忙しい方が、「楽しみ」を求めて来店しているとは考えにくい。
「楽しい」という点について言えば、インターネット、とくにスマホを通じた買物のほうが勝るはずだ。スマホでは無制限に情報を提供でき、商品に関連する動画を見てもらうこともできる。事実、多くの人がスマホでゲームを楽しんでいる。同様に、リアル店舗で買物をするという行為がいずれスマホにとってかわられると予想している。
当社では、ネットスーパーはすでに主力事業となっている。長い年月をかけ構築したノウハウはほかのSM企業でも活用できると自負している。昨年から当社では、ネットスーパーのFC事業を開始した。これにより、全国のローカルスーパーを支援したい。
このビジネスのねらいは、ロイヤルティ収入だけではない。FC事業で得られた収益を、より充実した受注システムやアプリケーションの開発のために投資したいと考えている。これらの開発には莫大な費用がかかるため、投資費用を小規模な事業社1社で賄うのは難しい。今後、AIやAR(拡張現実)の技術が必要になってくれば、コストはさらに増えることになる。そういった意味でもFC展開には力を入れていきたい。
ネットスーパーは多くの企業が取り組んでいるが、現段階で成功している企業は少なく、開拓余地が多い分野と言える。経営環境が厳しさを増すローカルスーパーが参入する意義は大きいはずだ。もし、興味を持っていただける企業があれば、いつでも歓迎したいと考えている。
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