ビックカメラ 新店、新業態、M&A、EC強化で成長加速!
競争の激しい家電量販店業界において、都市部と郊外、新品と中古品、リアル店舗とEC、さらにはインバウンドと、幅広い機会を的確に押さえて成長を進めるビックカメラ(東京都)。
2029年8月期に連結売上高1兆1000億円(24年8月期実績9225億円)という高い目標を掲げる同社は、具体的にどのような戦略でその達成をめざすのか?
ECの送料無料化に加え、中古品の店頭販売や新業態の展開を構想するなど積極果敢に成熟市場を攻めるビックカメラの打ち手を秋保徹社長に聞いた。
競争激しい中、好調に推移25年に新業態投入へ
──家電量販店業界を取り巻く現在の事業環境をどのようにみていますか

あきほ・とおる●1997年ビックカメラ入社。
2013年執行役員商品部長、15年執行役員EC事業部長。
17年常務執行役員EC事業本部長。18年取締役常務執行役員EC本部長。
20年取締役専務執行役員事業推進部門管掌商品本部長、
同年取締役専務執行役員事業推進部門管掌マーケティング本部長。
22年代表取締役社長 社長執行役員(現任)
秋保 訪日外国人増加の恩恵を受けて、ビックカメラでは、インバウンドの売上高が直近でも2ケタ伸長のペースで好調に推移しています。
一方、国内の家電市場はやや飽和感があり、予断を許さない状況です。耐久消費財は買い替えサイクルが長期化し、コモディティ化してきました。新商品を発売しても、買い替えへの動機づけが以前と比べて低くなっています。
このような市場環境のもと、新規プレイヤーも参入し、市場シェアの奪い合いがいっそう激しくなっています。
──家電量販店業界におけるビックカメラの立ち位置をどのように評価していますか
秋保 都心部の好立地に大型店を構えるビックカメラと郊外に出店するコジマ(栃木県/中澤裕二社長)で、国内の大都市圏と郊外の多くを押さえています。今のところ、両社ともに人口減少の影響が少ないエリアで店舗を展開し、国内の需要を十分刈り取れる環境で商売できています。
これに加えて、ビックカメラではインバウンド需要も上乗せされています。現時点では、業界内で比較的恵まれた事業環境に置かれていると認識しています。
──出店に対する基本的な考え方について聞かせてください
秋保 ビックカメラ、コジマともに国内での出店余地はまだあるとみており、これからも出店を模索し続けていきますが、条件に合う物件が簡単に見つかる状況にはありません。
とくに大都市圏で展開するビックカメラの出店条件は、一昔前と比べて変わっています。
かつて家電量販店は集客力のあるテナントとして積極的に誘致されていましたが、