スキマバイトサービス「メルカリ ハロ」 後発なのに会員数がタイミーに肉薄の理由
大手企業では物流業界最大手のヤマト運輸が「メルカリ ハロ」の本格導入を開始したほか、寿司チェーンのすしざんまいが11月以降に導入を全国で進めることを決定しており、導入店舗数は10月15日時点で12万店舗を超えた。業種は物流、小売、飲食など多岐にわたっている。
また、10月23日からは中小企業や個人事業主のような小規模事業者に向けてのサービス提供を開始。求人掲載を希望する企業が申し込みフォームから申請し、審査を通過することで「メルカリ ハロ」上に求人を掲載できる。
導入企業に向けたサポート体制も万全だ。複数のスポットワークサービスを併用する企業も少なくないが、そのぶん企業側での管理が増え、業務の負担につながる。同社はこの対策として、併用を希望する企業に労務管理を支援する簡易的なツールを提供するなど、テック企業らしいサポート体制を敷いている。また、リリース当初から当面の間、求人のマッチングに応じて発生する手数料が無料になるキャンペーンを実施している。勤務者の引き抜きも歓迎しており、サービス開始以降、実際に引き抜きが行われた例もあるという。
また、求人掲載にあたってのサポート体制も敷く。実際に同社の営業メンバーが店舗に赴き、想定される環境で働いてみるというケースもある。業務内容や課題を把握することによって、求人掲載のヒントにするなど、企業とのコミュケーションにも力を入れている。太田氏は「現場の声を聞くことは重視している」と話す。
新たな基盤事業への成長めざす
太田氏は事業の課題として、スポットワーク市場が「変わっていく分野」である点を挙げる。「市場を取り巻く、法律面や社会の仕組みなどが、変化していくことを前提として事業を動かしていかなければならない」と考えているという。
また太田氏は、そもそも今考えられている「スポットワーク」の定義すら、これからどんどん形が変わっていくのではないかと話す。「いまのスポットワークは、その相性のよさから飲食やサービス業での広がりが中心だが、オンラインのスポットワーク、資格が必要なスポットワークなど活用できる領域もある。黎明期から成熟期に差し掛かっている中で、スポットワークはこうあるべき・こういうものだと自分たちが思い込まないようにしていく必要がある」と、いま感じている事業の課題を語った。
今後は、同事業を単体でも伸ばせるものに成長させつつも、「メルカリ」事業との連携や決済アプリ「メルペイ」事業との紐づけも進めたい考えだ。社会の価値の循環をさらに加速させることを軸に据え、事業をさらに発展させていく。「このマーケットでもNo.1をめざす」と話す太田氏。「メルカリ ハロ」は同社の新たな基盤事業になるか。