非常識だからこそやる!リアル店舗の価値を具現化するプロショップ「プラスワン」のねらいとは
長野県で建築職人・DIY向けの資材・工具・金物・作業衣料などの専門店を4店舗運営するプラスワン(山梨県)。7年半ぶりの新店は、売場面積約4000㎡の大型店で、無人決済、接客しないという常識破りのスタイルだ。そのねらいについて、矢崎金雄社長と笠原加奈子店長に聞いた。
店舗運営は未経験5人のみ
──7年半前に出店した「PLUS ONE長野店」に続いて、4月23日にオープンした新店「PLUS ONEⅡ信州箕輪店」も常識にとらわれず、多くの人を驚かせる店舗になりました。同店を構想されたのはいつからですか。
矢崎 2年前から。既存店と同じやり方では今後は成り立たなくなる。今までのやり方を、根底からひっくり返さないと、やっていけなくなるのではないかと考えた。
ECとの差別化も必須になった。リアル店舗として顧客体験価値を高めることを具現化した店づくりをしたつもりだ。
──その結果、接客をしない、無人決済のスマートストアになりました。
矢崎 人に頼りたくないというコンセプト。これまでは、どうしても特定の人のスキルや経験に依存した店になっていた。
今、人件費がどんどん高くなっている。この先、人材の採用もますます難しくなる。そうなっても維持できる店舗づくりへのチャレンジでもある。
発注は自動発注でスタッフの経験や勘に依存しない。会計もすべてセルフで精算できるようにした。特定の人のスキルに頼ることなく、接客、発注、会計がすべて回っていく。
信州箕輪店の1日の運営スタッフは笠原店長を含めて5〜6人。みんな店舗運営の知識はほぼゼロだった。
「非常識だからこそやる」がプラスワンのモットーだ。
──笠原店長はこれまでどのような業務にかかわってきましたか。
笠原 塩尻店でパートとしてレジ打ちをしていた。正社員になったのは2023年の8月。この半年間、さまざまな業務について、矢崎社長をはじめ、先輩たちからゼロから教えてもらっている。
──笠原店長以外の方はどのような業務をされていますか。
笠原 レシートの検品、サービスカウンターでの質問対応、資材館のレンタルサービスの対応、商品管理が主な業務だ。売場面積は約4000㎡で長野店と同等だが、運営人数は半分以下になった。
無人決済で接客はしない
──無人決済を実現した、信州箕輪店の買物の流れについて教えてください。
笠原 事前にお客さまに専用アプリ(寺岡精工の「Shop&Go」)をダウンロードしてもらう。購入する商品をセルフスキャンしてもらい、最後に出口に設置したセルフレジで2次元コードを読み込ませると決済が完了する仕組みだ。
防犯上、カバンの持ち込みは禁止し、入口前のロッカーに預けてもらう。AIカメラでお客さまの行動をモニタリングしている。セルフレジ通過後にはスタッフが検品もする。
──無人決済の仕組みには、さまざまなものがあります。この手法をとろうと思ったのには、理由がありますか。
矢崎 デジタル化が最も進んでいる国の1つ、エストニアでスーパーマーケットの決済を見て、これだと思った。
──無人決済だけでなく〝接客をしない〞店とされたのはなぜですか。
矢崎 そもそも接客そのものがいらないのではないかと考えた。とくに若い世代は、YouTubeやSNSで事前に情報を調べてから来店している人も多い。購買行動の変化に合わせた店づくりとしてチャレンジした。
ただ、このスタイルが受け入れられるには3年、5年と時間がかかるだろう。もっとお客さまから罵声(ばせい)を浴びせられると思ったが、今のところ思ったほど罵声は浴びていない(笑)。
PR ダイヤモンド・プロディーラー創刊号6月15日発売、1100円(税込) |
職人を輝かせる プロショップ の新着記事
-
2024/10/23
工具・作業服に特化 190坪の小型フォーマットに挑戦=本田屋 宇都宮元今泉店 -
2024/10/16
ヤマダの居抜きで出店!資材も取り扱う総合的な品揃え=ムサシプロ松本店 -
2024/10/09
2年ぶりの出店で都内3店舗目、電材・管材を強化=C’z PRO練馬関町店 -
2024/10/02
PLUS ONEⅡ 信州箕輪店、無人決済のスマートストア「接客しない」新業態に挑戦 -
2024/09/25
非常識だからこそやる!リアル店舗の価値を具現化するプロショップ「プラスワン」のねらいとは -
2024/09/18
今がまたとない絶好のチャンス!先手必勝でシェアを拡大していく=コーナン疋田社長