障がい者の雇用と女性活躍の推進から始まったユニクロのダイバーシティ
女性管理職比率は20%から43.7%へ
女性活躍推進においては、2014年に女性管理職比率の目標を掲げ、2020年までに30%、2030年までに50%にすると発表した。この目標は前倒しで達成しており、グローバルでの女性管理職比率は、2022年度時点で43.7%に達している。
「2014年当時の女性管理職の比率はまだ20%弱でした。日本企業の中では決して低い方ではありませんが、店舗を含めると私たちの従業員の7割が女性、お客様の半分が女性という中では、女性管理職比率20%弱というのはあまりにも低すぎると判断しました。会社としてきちんと向き合っていくべき課題であると捉え、事業目標と同様に目標値を発表したのです」(内田氏)
以来、女性がキャリアを築きやすい環境を整備するため、様々な支援策を設けている。
たとえば、本部従業員向けにはベビーシッター補助制度、店舗従業員向けには繁忙日の託児支援制度を導入しており、これは性別を問わず利用可能だ。
また、産休・育休を取得した従業員が安心して復帰できるよう、育休復帰者説明会では育児に関する人事制度を紹介するのと同時に、育休取得の経験者を招き、質疑応答も行っている。
「ベビーシッター補助制度もあるのですが、ベビーシッターの活用自体をためらう人もまだ多いので、どういう使い方をしているか。たとえば、ある人は残業する日を月に何回と決めて、その残業の日にベビーシッターにお願いをしているとか、朝の保育園の送りだけお願いしている人もいるなど、具体的な事例をかなり細かく共有しています」(内田氏)
女性活躍を推進するためには、制度面のサポートだけでなく、意識面ではアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)を取り除くことが課題だという。
「たとえば、女性は育児や家事をする、男性は一家の大黒柱として外で働いて稼ぐ、といった思い込みは、男性だけでなく女性にも根強く残っています。男性上司の意識改革も必要ですが、当の女性側にも、リーダーシップポジションに就いて責任範疇が広がることに不安を覚えたり、前向きに考えられないことも多いのです」(内田氏)
そのため、ここ1、2年で特に力を入れているのは、女性管理職のロールモデル紹介だ。
「実際の女性管理職は、結婚して子どもがいる人もいれば、独身でバリバリ働いている人もいて、そのコミュニケーションスタイルも多様です。この会社の中で、自分らしいスタイルでリーダーシップを発揮してキャリアアップしていけるんだということを、実例を持って見せていくということです。実際、『初めて、こんな風になりたいと思うロールモデルに会いました』といったフィードバックもありました」(内田氏)
後編では、「多文化共生」への取り組みについて取材する。
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