障がい者の雇用と女性活躍の推進から始まったユニクロのダイバーシティ
ユニバーサルデザインの店舗づくりと、お客の声から生まれた商品
一方、障がいのあるお客に対する取り組みとしては、店舗のユニバーサルデザイン化を進めている。
従業員有志が中心となり、障がいのあるお客だけでなく、高齢者や妊婦なども含め、配慮の必要なお客がより快適に買い物ができる店舗づくりを目指すプロジェクトを立ち上げた。多様なお客の声を活かして商品開発やマーケティング、店舗設計、接客応対、サービスの向上に取り組んでいる。
「お客様のご意見を元に、店舗設計担当部署による検証を経て、店舗の標準フォーマットを変更しました。具体的には、店舗入口の段差の解消、手すりやベンチを備えた広いユニバーサル試着室の導入、障がい者専用駐車場の設置・増設などです。このフォーマットは2019年秋以降にオープンしたすべての新店と、既存店改修時の店舗設計に反映しています。都内では、UNIQLO TOKYOやユニクロ原宿店なども対象になっています」(内田氏)

商品面では、今年6月に、ユーザーの声を受けて、廃番予定だった前開きの子供用ボディスーツの販売継続を決定した、というエピソードもある。
この商品は、110~160cmのサイズまであり、着脱しやすいことから、障がいを持つ子供を介護する親や施設でも使われていた。商品レビュー欄には、「歩行困難な障害児に使用しています」「要介護5の親に使わせてもらってます」「日頃はTシャツ・タンクトップの股開きのみのロンパースを手作りして着せています(中略) しかし、こちらの商品を知り購入」といった切実な声が寄せられており、毎日「お客様の声」を社員全員が閲覧しているユニクロでも、そのことは知っていた。さらにtwitterでも「この商品を廃番にしないでほしい」という声が拡散されていることを知ったユニクロは、社内で議論のうえ、このツイートのわずか5日後に販売継続を決定し、それをユーザーにも報告した。

「以前から、入院中の方や介護が必要な方からも、ユニクロの服はウエストがゴムで伸縮性があるとか、肌触りがいいなどといったお声をいただいていました。今年7月からはユニクロのオンラインストア内に、そういった商品をまとめて『脱ぎ着しやすく、心地いい。役立つ工夫満載アイテム特集』としてご紹介する特設ページも作りました。商品は、医療・介護・看護のプロの目線で選んでいただいています」(内田氏)
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