服に愛着を生む リ・ユニクロスタジオのリペア&リメイクサービスとは

北沢 みさ (MK Commerce&Communication代表)
Pocket

ユニクロは、2022年10月より、店舗に持ち込んだ服を店内で加工して、刺繍や刺し子でリペア、リメイクするサービスを始めている。「RE.UNIQLO STUDIO(リ・ユニクロスタジオ)」と呼ばれる、このインストアのリペア工房は、国内ではまだ「世田谷千歳台店」(東京都世田谷区)、「前橋南インター店」(群馬県前橋市)、「天神店」(福岡県福岡市)の3店舗に限定したサービスだ。「商品を販売する」ということが最優先されていた店舗でのオペレーションに対し、手間をかけて服をリペアするというサービスを始めた背景は何なのか。RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)の運営を担当するファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチームの花田彩氏(以下、花田氏)に取材した。

衣料回収活動を「RE.UNIQLO」としてリブランディング

 花田氏は、2019年に入社した。前職の飲料メーカーでミネラルウォーターのブランドマネージャーをしている間に、ペットボトルの循環型リサイクルについて問題意識を持ち、こういう仕事をメインにしていきたいと思ったときに、転職先として候補に挙がったのがファーストリテイリングのサステナビリティ部だった。

 入社当初は、サステナビリティ部でマーケティングを担当した。その中で最も大きな取り組みとなったのが、それまで10年以上取り組んできた店頭での衣料回収プロジェクトを、「RE.UNIQLO」としてリブランディングしたことだ。回収した服はリユースし、難民キャンプや被災地への緊急災害支援など、世界中の服を必要としている人たちに届けるほか、リユースできない服は燃料やリサイクル素材として活用する。さらに、服から服へのリサイクルとして、ダウンのリサイクルを開始した。

 服の第二の人生の道筋を作るこれら一連の活動を、「RE.UNIQLO」と名付けた。リブランディングの目的は、新しくロゴを開発し、店舗の衣料回収を呼び掛けるポスターや回収ボックスなども一新して、再度お客からの注目度を上げ、より積極的に参加してもらうことだ。

ファーストリテイリング サステナビリティ部グローバル環境マネジメントチームの花田彩氏

RE.UNIQLO」とは

 「『RE.UNIQLO』とは、お客様に服をできるだけ長く着ていただき、最後はそれを店舗に持ってきて、リユース、リサイクルしていくという活動全体を指しています。活動の中で、服を長く着ることをサポートするサービスの一つとして『RE.UNIQLO STUDIO』という店頭での服のリペア/リメイクサービスを開始しました」(花田氏)

 「お客様が服を捨てる理由は、大きく分けて2つです。一つは、物理的に破れたり、縮んだり、穴が開いたり、シミがついたりして着られなくなったとき。もう一つは、物理的には問題なくとも、飽きてしまったときです。RE.UNIQLO STUDIOは、その両方をできるだけカバーするために、リペアとリメイクというサービスを提供しています」(花田氏)

 たとえば、破れた服は、店内のミシンを使ってクイックにリペアする。最も簡単な補修は500円からと手ごろな料金設定だ。また、リメイクは、刺繍や刺し子のデザイン見本の中からお客に選んでもらい、かかる予算も相談しながら、オーダーメイドで作っていく。

リペアのサンプル
リペアのサンプル

1 2 3

記事執筆者

北沢 みさ / MK Commerce&Communication代表

東京都出身、日本橋在住。早稲田大学第一文学部卒業。
メーカーのマーケティング担当、TV局のプロデューサーの経験を経て、
1999年大手SPA企業に入社しマーケティング・PRを12年、EC・WEBマーケティングを8年担当し、ブランドの急成長に寄与。
2018年に独立後は、30年に渡る実務経験を活かし、小売・アパレル業界を中心に複数企業のアドバイザーとして、マーケティングおよびEC業務を支援中。

 

執筆者へのコンタクトはこちらへ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態