有力小売各社、SDGsの取り組み強める食品ロスを削減するサービスも登場
展開する施策は、食育活動や関連グッズの販売など複数あるが、ここ数年メーンのサービスとして注力するのが「もぐもぐチャレンジ」だ。
売場に並ぶ、賞味・消費期限が迫った商品に貼られた「もぐもぐシール」を集めると、寄付や抽選に参加できるプログラムである。寄付については、地域の子ども食堂や慈善団体などに対して行うことができる。本来なら捨てられてしまう食品を、楽しみながら減らしていけるのが大きな特徴となっている。
現在、全国にある食品スーパー(SM)企業に同サービスを告知しながら、プログラムの導入を促している。評判が評判を呼び、問い合わせも順調に増えているという。
新たなサービスとして取り入れる場合、SM企業にとってもメリットは多い。
最も大きいのは食品ロスを低減できる点で、利益率を改善できるのは利点である。さらに総菜のほか青果、鮮魚、精肉といった生鮮3品、日配、加工食品など、各社でカテゴリー設定できる自由度の高さも魅力となっている。
アッシェのマーケティング& カスタマーサクセス本部の穐津健太本部長は、「お客さま、地域、SM企業が幸せになる、『三方よし』のプログラムが『もぐもぐチャレンジ』だと考えている」と胸を張る。
若い年齢層からの注目度が高いことが明らかに
「もぐもぐチャレンジ」を導入する店舗数は順調に増えている。サービスを開始した19年は17店舗だったが、20年は47店舗、21年118店舗、22年291店舗と毎年、前年実績の2倍以上のペースで伸長。23年に入っても増加傾向にある。
アッシェが本社を置く高知県ではサニーマート、大阪府では大近といった地域で強い支持を得るSMチェーンが採用。また広島県を拠点に中国、四国、九州などで事業展開するリージョナルチェーンのイズミのように全店に導入している企業も見られる。
東京都を中心に事業展開するサミットも、ほぼ全店で「もぐもぐチャレンジ」を取り入れている。
そのひとつ「サミットストア横浜岡野店」(神奈川県)では、お客の応対をするサービスカウンター横にコーナーを特設、プログラムをアピールする。
成果も着実に出ている。サミットの場合、貼り付けたシールの枚数に対し、平均10%以上を回収できており、回収率が高い店舗では約20%に上るケースも出てきているという。
今年2月、アッシェでは「もぐもぐチャレンジ」の浸透度調査を実施。それによると、プログラムの参加者は30代がメーンで約42%、男性が多い傾向にあるという。一緒に買物に行く家族は「配偶者・パートナー」が53%、「未就学児のお子さま」も30%と多いこともわかった。
プログラムは比較的、若い年齢層からの注目度が高いことが浮き彫りになった。
アッシェでは、SM企業以外にも地域の各種団体と連携し、食育をテーマにした取り組みを行うなど活動の幅を広げている。穐津本部長は「今後、さらに取り組みを拡大して、食品ロスの削減に努力したい」と意気込みを語る。
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