アスリートと取り組む次世代育成 #1 ユニクロのグローバルブランドアンバサダーとは
アスリートと取り組む次世代育成
6人いるグローバルブランドアンバサダーの中でも、とくに次世代育成活動の面で今後大きく取り組んでいこうとしているのはロジャー・フェデラー選手だ。フェデラー選手自身も、20年前にロジャー・フェデラー財団を創設し、アフリカの子どもたちに教育の機会を提供する活動を続けている。
ユニクロは、2022年9月にプロを引退したロジャー・フェデラー選手の11月の来日に合わせて、これまで世界各地で開催してきた次世代育成の取り組みを、「UNIQLO Next Generation Development Program」という形で体系化することを発表した。
「UNIQLO Next Generation Development Program」は、グローバルブランドアンバサダーのほか、国内外のスポーツ団体、また米メジャーリーグで活躍したイチロー選手などとも一緒に、次世代育成を推進するプログラムだ。子どもたちが、一流アスリートとの交流をきっかけに、持続可能な未来の担い手として成長できるよう、スポーツ競技の指導と合わせてサステナビリティをテーマにしたセッションをプラスしたイベントなどを行う。2023年11月にはロジャー・フェデラー選手の偉業を称え、「UNIQLO LifeWear Day Tokyo 2022 with Roger Federer」と銘打って、東京の有明コロシアムで開催、6400人が参加した。
グローバルブランドアンバサダーの中で最も若い世代である平野歩夢選手は、今年3月に初めて次世代育成のイベントに参加した。
「当初、平野選手は、自身が初めて取り組む次世代育成イベントに対し、どう取り組むのがいいか分からない部分もあったようですが、結果的にはとてもいいイベントを実施することができました。日頃から一生懸命スノーボードをやっている子供たちが、平野選手の滑りを間近に見て、直接指導をしてもらえるんです。その子供たちにとっては人生が変わるくらいの一日になるわけで、ブランドとしていい機会を提供できたなと思っています。同時に、平野選手自身も、一日子供たちと過ごす中で、自身が次の世代を育てていくことの大切さやそれに対する喜びに気づいたと語っていました。我々がパートナーとしてともに活動する中で、アスリートの心情にも何かしら変化を作り出せたというのは、この上ない喜びでした」(文原氏)
文原氏は、前職はアメリカのマーケティングエージェンシーの日本支社代表だった。自身もアメリカンフットボールのプレイヤーとして経験があり、アメリカの大学院でスポーツマーケティングを学んだ後は、国内広告代理店や外資系飲料メーカーにおいてもスポーツビジネスに携わってきた。いわば、スポーツマーケティングの世界を知り尽くした人物だ。ユニクロとは外側から関わった経験もあるが、3年前に入社した。こういった異業種のスペシャリストにさらに新しく大きなチャレンジができると思わせる、その求心力がユニクロと他社との決定的な違いを生んでいるのであろう。
次回「第4回 アスリートと取り組む次世代育成#2 車いすテニス・国枝慎吾選手と歩んだ14年間」は、6月30日掲載。2009年からユニクロのグローバルブランドアンバサダーとなっている国枝選手に取材した。
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