業態超え大型再編続々の小売業界を読み解く!流通相関図2024!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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流通相関図1280

HD=ホールディングス

ウエルシアとツルハ経営統合の衝撃!

 “コロナ後2年目”にあたる2024年。コストプッシュ型のインフレが依然として進んでおり、あらゆるモノの値段が高騰、消費市場は回復には程遠い状況が続いている。小売企業にとっては原材料やエネルギー価格の高止まり、さらに賃金の上昇といった課題が経営面に重くのしかかっている。

 そうしたなか、国内小売市場では24年に入ってから、企業再編に関するビッグニュースが相次いだ。

 何より大きな耳目を集めたのは2月28日に飛び込んできた、イオン(千葉県)と、ドラッグストア(DgS)最大手のウエルシアHD(東京都)、業界2番手のツルハHD(北海道)の3社が資本業務提携を締結し、ウエルシアHDとツルハHDの経営統合に向けて協議を開始するというニュースだ。

 統合スキームは、①イオンがツルハHDの株式を追加取得し持分法適用会社化(3月中)、②ツルハHDを親会社、ウエルシアHDを完全子会社とする株式交換による経営統合を実施、③イオンがツルハHDの株式に係る議決権割合が過半数以上51%未満となる範囲で追加取得し、遅くとも27年末までに同社を連結子会社化する、という流れである。

 ウエルシアHDの23年2月期の連結売上高は1兆1442億円・国内店舗数約2700店舗、ツルハHDの23年5月期の連結売上高は9700億円・国内店舗数約2600店舗。経営統合後は単純合算で連結売上高2兆円超・国内店舗数5300以上の巨大DgS企業が誕生することになる。

ウエルシア

ツルハドラッグ
ウエルシアHDとツルハHDの経営統合によって、売上規模2兆円超の巨大DgSグループが誕生することになる

 2社統合の主導役となったイオンの吉田昭夫社長は、国内DgS市場の現況について次のように語っている。「出店余地の減少、価格競争の激化、薬価の継続的な引き下げなど、DgS業界は成長期を経て成熟期、低成長期に入ってきていると認識している」。2社の統合により圧倒的なスケールメリットを獲得し、介護・ヘルスケアなど新たな領域の深耕、海外への出店拡大などにも取り組み、継続的な成長を図りたい考えだ。

 近年、他業態と比較しても寡占化が進んでいたDgS市場。イオンという一大流通グループを介したウエルシアHDとツルハHDの経営統合は、寡占化のスピードを何段階も引き上げる出来事になるはずだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

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