ジョイフル本田、ソーラーカーポートを導入 GX戦略の一環で遊休地に着目
ジョイフル本田(茨城県/平山育夫社長)は、再生可能エネルギー事業者のしろくま電力(東京都/谷本貫造社長)と協業し、「千葉ニュータウン店」(千葉県印西市)の駐車場にホームセンター(HC)業界最大級のソーラーカーポートを設置した。2025年7月1日より発電を開始し、第三者所有モデル(PPA方式)による長期契約で電力供給を受ける仕組みである。
高い軒高(のきだか)が導入の決め手
ジョイフル本田は2050年にカーボンニュートラル達成を目標に掲げ、店舗の省エネ化・再エネ化を戦略的に進めている。13年度比43%の排出削減(25年目標)も、11店舗への屋上太陽光パネル導入により24年時点で前倒し達成した。
しかし屋上だけでは店舗の電力需要を十分には賄えず、GX(グリーントランスフォーメーション)戦略の一環として遊休地である駐車場に着目し、再エネ設備導入を拡大した。

今回採用されたしろくま電力のソーラーカーポートは、最大高さ3.6mの高い軒高や短工期施工など独自の設計が特徴で、商業施設への導入実績が豊富な点も評価され採用に至った。平山社長は「お客さまの利便性を考えて、軒高が決め手だった」と話す。
既設の屋上太陽光発電設備と合わせ、店舗の電力自給率は約20%に向上し、外部エネルギー価格の影響を受けにくい自家消費電源として電気代削減・安定化にもつながっている。同社では他店舗へのソーラーカーポート展開も検討中である。
GX戦略の新たな選択肢に
千葉ニュータウン店で行われた記者発表において、平山社長は「既存の敷地をフル活用して、再生可能エネルギーを活用していきたい」と述べ、他店舗にも同様の取り組みを広げていく考えを示した。
HC業界では近年、各社が省エネ設備や再生可能エネルギー電力の導入拡大を通じてGX対応を加速させている。たとえばカインズ(埼玉県)は「カインズ浜松市野店」で屋上太陽光パネルと36台分のソーラーカーポートを設置している。同社は25年までに自社施設のカーボンゼロ達成を目標に掲げるなど、積極的な脱炭素戦略を展開中である。
DCMホールディングス(東京都)も中部電力ミライズ(愛知県)との協業により「DCM大垣鶴見店」を「100% CO2フリー店舗」として運営している。年間約49万kWhの電力をすべて再エネ由来に切り替えた。
こうした潮流の中、ジョイフル本田の今回の取り組みは設備規模の点で群を抜いており、駐車場という広大な空間を有効活用した先進的事例である。自社の脱炭素化とエネルギーコスト削減に寄与するだけでなく、店舗を核として地域のカーボンニュートラルやレジリエンス強化にも資する取り組みとして、新たな企業価値の創出可能性を示している。





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