商品開発、産地支援……サミットが「インストアサラダ」を軸に行う青果改革!
サミット(東京都/服部哲也社長)の青果部門では、店内加工の「インストアサラダ」や「カットフルーツ」を軸とした商品政策(MD)により、他社との差別化を図っている。店頭で販売する旬の素材を使ったメニューのほか、最近は1食完結型のサラダボウルや小容量のカットフルーツなど、消費者のニーズをくみ取った新しい商品も生まれている。また、店内加工という特性を生かし、旬の演出や素材との連動、川上支援など、さまざまな取り組みの起点としている。
インストアサラダはコロナ前から売上2倍に
サミットの青果部門では、10年以上前から店内加工のインストアサラダを扱ってきた。同商品は今や青果部門の看板商品とも言える存在となっており、サミットにおける2025年3月期のインストアサラダ商品の売上高は、コロナ禍前の20年3月期と比較して2倍以上に伸長。今期に入ってからも毎月過去最高の売上高を記録している。

インストアサラダの基本ラインアップは12品目程度で、量目の違いを含めれば約20SKUを展開する。商品化に際しては、地域の顧客ニーズに応えられるラインアップを意識し、店舗規模に応じて品揃えを調整しているという。

「インストアサラダの強みは、素材の仕入れ状況を見ながら、販売の直前でも柔軟にメニュー変更ができる点にある」。そう話すのは、サミットで青果部マネジャーを務める青栁智弘氏だ。
「青果は直前にならないと素材の入荷状況がわからず、相場の変動を常に注視しなければならない。しかしわれわれには、これまで10年以上にわたり毎年新メニューを開発してきた経緯がある。その経験知を生かし、農産物の入荷状況に応じて、臨機応変にメニューを決めている」(青栁氏)。
サラダと素材の連動で旬を打ち出す売場づくり
旬の素材を使用した商品開発ができるのもインストアサラダの利点だ。
サミットの青果部門では、お客に四季を感じてもらえるような素材選定を重視しており、たとえば夏はトマトやきゅうり、秋にはさつまいもやかぼちゃといった食材を使用している。味のよい旬の農産物を需要の高いサラダとして提供することで、素材とお客の接点としたいねらいが込められている。
そのうえで、サミットの季節感を打ち出したインストアサラダのメニューでは、売場で素材として販売している旬の野菜やフルーツを使用する。25年6月時点では、売場に並ぶズッキーニを使った和風のカットサラダや、石川県産の旬の加賀太きゅうりを使用したサラダを販売し、素材とインストアサラダを連動させている。


お客にサラダを食べてもらうことで、サラダ自体が旬の素材のメニュー提案となり、売場に並ぶ素材の購買にもつなげられるというわけだ。またサラダ以外にも、旬のプラムをカットフルーツや杏仁豆腐のトッピングにも使用する。
サミットで青果部バイヤーを務める金森健人氏は「旬の素材は味がよく、基本的には入荷量も多いため、安定した商品量を整えつつ質にもこだわることができる」と話す。季節ごとにメニューを切り替え、お客に飽きさせない新鮮な売場をつくることで、店舗全体の集客力向上にもつなげたい考えだ。
さらに、金森氏は
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