「Qoo10」のライブショッピングが好調 1時間で数億円を売り上げる仕掛けとは
専用スタジオ開設で配信体制強化

ライブショッピングの視聴者数は順調に増え、配信回数も徐々に増えていった。開始当初は週に1回、1時間の枠組みで配信していたが、メガ割などのセールイベント中は連日配信することも。そこで、ライブショッピング事業を拡大しようと24年2月に開設したのが、ライブコマース専用スタジオ「Qoo10 Live Studio」(東京都渋谷区)だ。
スタジオの面積は1、2階を合わせて約120坪。カメラやパソコンなどの機材を設置し、照明やスタジオセットも備える。専門知識を持ったスタッフが常駐するため、機材の操作もスムーズに行われる。以前は配信のたびに撮影場所を確保する必要があったが、自社スタジオの開設で「機材と場所を常に確保できているので、安定して撮影や番組制作ができるようになり、配信スケジュールも組みやすくなった」(金氏)。実際、スタジオ開設前の23年の配信回数は150回だったが、24年には200回に増加。イベント期間中は実験的に1日2回配信も行っており、25年はさらに配信回数が伸びる見込みだという。
スタジオ利用については複数のパッケージプランを用意している。商品メーカー側の要望に応じ、配信コンテンツの制作や出演者の選定にも携わる。使う機材や照明の色合いなどはオプションでの選択が可能だ。こうした仕組みやスタジオの機能性・利便性が評価され、すでに4~5カ月先まで予約が埋まっている。

金氏は「撮影・配信環境の整備やコンテンツの企画・制作など、メーカーやブランド側が自前で配信を行うにはさまざまなハードルが存在する。われわれは、たとえばインフルエンサーなど出演者ごとの視聴率や視聴回数もデータで持っているので、コンテンツ制作においてそうしたデータも提供できる」と話す。
こうした仕組みの下で、ライブショッピング事業はさらに伸長。25年3月には、あるスキンケア商品が1時間で数万点売れ、売上は3億円にのぼったという。とくにメガ割の期間中は集中して20回ほど配信を行うが、1回の配信で1億円を売り上げるケースも複数あり、通常時でも「数千万円を売り上げることは珍しくない」(金氏)。
配信スケジュールはSNSなどで事前に告知しており、配信前からすでにユーザーがSNSで盛り上がっていることも多いそうだ。視聴者限定の特典を予告している場合、配信開始の直後に特典を付与する上限数に達することもあるという。






