大競争時代を勝ち抜く!ディスカウンティングによる「高収益への再起」をめざす
生産性の向上を全社的にめざす
流通業本来の役割は生活者の日常の暮らしを維持するための商品(サービスを含む)を提供することだ。さらに、消費者のニーズに基づいて消費者がまだ知らない、より便利で楽しい商品を調達または開発して提案することである。それらの商品は既存の商品ならより安く、消費者にとって未知の商品なら原価構造の革新により驚異的なディスカウンティング価格を打ち出すべきである。
その実現は商品部だけにゆだねられるものではない。全社的な生産性向上対策が不可欠なことは第1回で述べた。その手段は、一言で言えば本物のチェーンストアになることである。
支店経営とチェーン経営の本質を比較した表からもわかるように、規模の大小にかかわらず日本の多くの流通企業はいまだに表・左側の支店経営方式を採っている。システムの根幹は企業単位でなければならないのだが、多くの場合、個店単位であらゆる決定が行われるのだ。それでは生産性の向上は期待できない。
支店経営では店ができてからは店長が営業の長となる。店舗開発部は店ができてしまえばそれでお役御免となるのである。
一方、チェーン経営では本部の各部署が全店分の決定を行う。したがって店舗開発部は開店までが仕事ではない。その後も店舗設備の革新、物流システムの効率化、競争関係の変化による売場面積の適正化、より有利な立地への移転、寿命の尽きた立地の店舗のスクラップやフォーマットの変更にまで、大いに関わる。それらは1店単位で検討するのではなく、