21年度上期決算は増収増益のヤオコー せんどうとの協業や新業態フーコットの状況は?
競争が激しさを増すスーパーマーケット(SM)業界のなか、中期経営計画で「2割強い店づくり」の実現を掲げるヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)。価格対応や若いファミリー層への提案強化などが奏功し、2022年3月期上期の連結決算は増収増益だった。本稿では、同社の決算説明会の概要をレポートする。
新たなデリカ・生鮮センターが稼働
ヤオコーの22年3月期第2四半期の連結決算は、営業収益2694億円(対前年同期比4.2%増)、営業利益172億円(同9.0%増)、経常利益170億円(同8.0%増)当期純利益114億円(同6.8%増)の増収増益だった。決算説明会で川野社長は「昨年に引き続きコロナ禍の巣ごもり需要が続き、売上が好調に推移した」と話した。利益面では、売上の伸びのほか、水道光熱費や広告宣伝費を低く抑えられたことが奏功したほか、昨年計上した従業員への慰労金やテナントへの賃料減免などの反動から増益となった。
単体ベースの既存店売上高対前年同期比は100.6%とほぼ前年並みで推移。昨年のまとめ買い需要の反動で客単価は98.0%となったものの、客数は102.6%だった。
部門別売上高では「デリカ事業部」が顕著に伸び、粗利率が向上したほか、売上高構成比も前期から1.7ポイント伸びて14.4%となった。21年10月にはプロセスセンター機能も併せ持つ「ヤオコー熊谷デリカ・生鮮センター」の稼働を開始しており、今後も店舗の省人化を図りつつ、レンジアップのうどんなど幅広い商品の提供に注力する考えだ。
売場での提案の成功事例は約2倍に
24年2月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画では、「2割強い店づくり」の実現を目標に掲げるヤオコー。初年度の22年3月期は、「『個店』を強く元気に」をテーマに、「安さ」を定着化させ、「客数」を増やす「攻め」の1年とする。
商品開発では、プライベートブランド(PB)や留め型商品などを含むオリジナル商品の開発を強化。現在のアイテム数は前期末より15アイテム増えて1290アイテムとなっている。ソース焼きそばやピザ、ホットケーキなど、同社が集客に注力する「ヤングファミリー層」の需要が見込める商品を積極的に取り扱う。総菜やベーカリーでも同様の方向性で商品を開発しており、エスニック系の弁当やワンハンドで手軽に食べられる具沢山のおにぎり、チーズタルトやモンブランなどのスイーツを強化している。
販売力強化の施策としては、売場での提案の成功事例の共有を続けている。今期は各店舗からの成功事例の報告件数の合計が20年3月期と比較して約2倍、寿司部門では約3倍となった。旬の商品や家飲み需要にあわせたおつまみの提案など、成功事例を全店に共有することで販売力の底上げを図っている。
直近の出店では、21年10月にヤングファミリー層の集客に特化した旗艦店「ヤオコー和光丸山台店」(埼玉県和光市)をオープン。前述のPBや総菜など、若年層に人気の高い商品群を強化したほか、ニーズが高まる冷凍食品や菓子の売場スペースも広く確保している。