コロナ禍で拡大する中食市場 外出自粛でも高まる「料理の時短ニーズ」
「スーパーで購入」も回復傾向
購入が増加・減少している品目は・・・
21年4月には中食の購入チャネルについての追加調査も実施した(図2)。結果は、1位「スーパーマーケット」(月間利用率59.9%)、2位「外食店のテイクアウト」(同33.2%)、3位「コンビニエンスストア」(同24.6%)、4位「持ち帰り専門店」(同18.0%)、5位「百貨店(デパ地下など)」(同15.4%)となっている。
1位の「スーパーマーケット」は、コロナ禍で内食が進んだことなどにより、20年度は対前年度比5.9%減と減少したが、今回の21年度は同1.6ポイント(pt)増と回復傾向にある。
「外食店のテイクアウト」は20年度と比べると減少したものの、19年度比では高止まりしている。「百貨店(デパ地下など)」は、前年度は1回目の緊急事態宣言に伴い多くの店が休業していたこともあり、21年度は伸長している。
購入チャネルの上位には入らなかったが、飲食スペースを持たない宅配専門店(月間利用率9.1%)も20年度比6.2%増と数値を伸ばしており、とくに20代女性で利用率が伸びている。
では、どのような中食が購入されているのか。具体的な品目を見ていくと、1位が「総菜・おかず・揚げ物類」(月間購入率51.0%)、2位が「弁当」(同40.5%)、3位が「寿司・和食」(同40.4%)、4位が「パン・サンドイッチ・ハンバーガー、おにぎり類」(同26.0%)、5位が「ピザ、パスタ」(同18.8%)となっている。
前年度と比べて「総菜・おかず・揚げ物類」の購入率が微増(前年度購入率58.3%)し、「ピザ、パスタ」(同22.8%)は購入率が下がった。「ピザ、パスタ」はとくに30代と50代の女性で購入率が下がっており、30代女性では「総菜・おかず・揚げ物類」の購入率が上がっている。
なお、中食の購入理由を聞くと、1位が「簡単に済ませたい」(59.4%)、2位が「料理するのが面倒なときがある」(41.7%)、3位が「料理をする時間がない」(28.7%)と上位の選択肢には大きな変化はなかった。
ただし「料理をする時間がない」については、19年度は35.0%だったのが、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出た20年度には23.0%と大きく減少し、21年度には28.7%まで回復した。
長引くコロナ禍で、リモートワークも定着しつつあり、コロナ以前と比較して人々が自宅で過ごす時間は圧倒的に増えているはずだ。そうしたなか「料理をする時間がない」という回答割合が高まり、引き続き料理の時短ニーズが存在することは興味深い点と言える。
【調査概要】
インターネット調査、調査期間:2020年4月~2021年3月(毎月)、
有効回答数:毎月約1万人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)。
平成30年人口推計に基づいて性別・年代・地域の250区分でウェイトバックを実施)
注)
【基準人口について】
・2020年度:H30人口推計(ただし、前年度の基準人口にH29人口推計→H30人口推計の減少率をあてて計算)
・2019年度:H29人口推計(ただし、前年度の基準人口にH28人口推計→H29人口推計の減少率をあてて計算)
・2018年度:H28人口推計(ただし、前年度の基準人口にH27国勢調査→H28人口推計の減少率をあてて計算)
・2017年度:H27国勢調査(ただし、前年度の基準人口にH26人口推計→H27国勢調査の減少率をあてて計算)
・2016年度:H26人口推計(ただし、前年度の基準人口にH25人口推計→H26人口推計の減少率をあてて計算)
・2015年度:H25人口推計(ただし、前年度の基準人口にH24人口推計→H25人口推計の減少率をあてて計算)
・2014年度:H24人口推計(ただし、前年度の基準人口に県×性年代別のH22国勢調査→H24人口推計の減少率をあてて計算)
・2013年度:H22国勢調査に基づく、各圏域に含まれる市区町村の対象年代の人口
・2020年度の基準人口の前年度比 3圏域計:-0.8% 、首都圏:-0.5%、関西圏:-1.4%、東海圏:-1.0%
【執筆者】
稲垣昌宏(リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員)
エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」
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