近年、「異国の味」が気軽に楽しめることで輸入食品の人気が高まり、「カルディコーヒーファーム」をはじめとした専門店が支持を得ている。そうしたなか話題性の高い商業施設に輸入食品専門店「Food warehouse(フードウェアハウス)」を出店しているのが、ヤスノ(東京都/安野弘司社長)だ。食品卸としての事業基盤を生かし、トレンドを反映した輸入食品や全国各地のこだわり商品を集積した独自の店づくりで、商業施設デベロッパーからの注目を集めている。同社のこれまでの歩みと支持される秘訣をレポートする。
卸から小売事業へ参入、独自フォーマットを複数開発
食品卸売業を展開するヤスノは1950年、東京都板橋区で創業した。大手食品卸、食品メーカーから商品を仕入れ、食品小売店やコンビニエンスストア、飲食店、ホテル、レジャー施設などの取引先に商品を供給。現在、供給先は首都圏1都6県の約1万9000店に及ぶ。
63年からは、現金で商品を購入し持ち帰る「キャッシュ・アンド・キャリー(C&C)」業態の食品卸店の出店をはじめ、87年には業務用食材スーパー「クック-Y」の展開もスタートした。そんなヤスノが新たな柱の事業とするべく、一般消費者向けの業態開発に着手したのは2010年頃からだ。
その背景について同社専務取締役の今宿寿志氏は「卸売業を展開するヤスノが持つ仕入れネットワークを生かせば、一般消費者向けの独自の業態を開発できると考えた」と説明する。
こうした考えのもと、ヤスノが強みとする加工食品、菓子を中心とした「あっぱれ」、駅前立地の商業施設に出店し日配や加工食品を中心に提供する「Foodest(フーデスト)」、輸入食品や全国各地のこだわり商品を扱う「Food warehouse」、菓子・駄菓子に特化した「やすの堂本舗」などのフォーマットを次々と開発している。現在では、事業者向け店舗11店に対し、一般消費者向け店舗22店を展開。一般消費者向けの小売事業が売上高全体の約4割を稼ぐまでに成長している。なかでも近年、ヤスノが注力しているのが、すでに同社最多の10店を展開する「Food warehouse」だ。
16年2月に
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。